収益向上に直結する「世界観ネーミング」の作り方。 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第2話

モノはすべて言葉によってはじめてモノになり、「時間・体験」などカタチのないコトも言葉によっ てその存在がカタチなります。商品、サービスのあるところには、必ず「名前」が与えられます。こ れをを「ネーミング」と言います。

「ネーミング」は元来、言葉の専門家であるコピーライターが請け負、名付けることがほとんどで した。今は企業内で内製化が進み、外注せずに自社でネーミングする企業が多いのではないでし ょうか。メーカーでは商品開発部門が考案したり、社内募集をかけたり、経営者自身がネーミング をする場合もあります。いずれにしても「名前を考える」ということは誰でもできるような印象がある かと思います。しかし、意外とそこが落とし穴なのです。

自社商品を宣伝するためのキャッチフレーズ(キャッチコピー)にしても、ネーミングにしても、だれ もが日常的に使っている「言葉」で表現するものなので、誰にでも作れる、または、誰でもカンタン にヒットが飛ばせると錯覚しがちです。実際、プロに仕事を依頼したくても、コピーライターがどこに いて、どうやって頼んだら良いかわからない、、、または、次々と生まれる商品にいちいち外注でき ない…、そんな理由で社内でササッと作られているのが実情だと思います。

確かに、社内でしっかりと商品開発の一環として「ネーミング」をしっかりと作れるようになったら、 すばらしいことです。しかし、ネーミングに関して考えてみると、それは非常に危険な考え方だと言 えます。なぜなら、ネーミングひとって売上が倍増、逆に、まったく売れなくなってしまう。それだけ でなく、会社のイメージダウンにつながったりすることがよくあるからです。

うまくいったケースでいえば、伊藤園のペットボトル煎茶「お〜いお茶」。業界シェア、知名度ともト ップのこの商品も、発売当初は鳴かず飛ばすで、「缶入り煎茶」というネーミングでした。発売4年 目の1989年にリニューアルを行い「お〜いお茶」と改名。役者が「お〜いお茶」という呼びかるテ レビコマーシャルと連動し、キャッチフレーズとなって、お茶の間に浸透していきました。リニューア ルにより売上は約6倍の40億にまで伸びたと言われています。

ネーミングひとって、収益増にもまたその逆もあるのだ、ということを肝に命じてください。安易な 命名で、今まで築いてきたブランドイメージの軸をガタガタさせ、経営者や開発者の「想い」が伝え きれずに、単なる「思いつき」と受け取られてしまっては、あまりに残念です。 ネーミングは、すべての始まりだ。と明言したのは、コピーライターという仕事を世に知らしめた糸 井重里氏の言葉です。この「すべて」とは「世界観」であり「ネーミングとは、商品が構築する世界 の始まりである」と変換することができます。

ちょうど一週間前、バレンタインイベントで街は賑わっていました。チョコレートの中でもクリーミー に溶ける食慾の「生チョコレート」をご存知でしょうか。様々なメーカーから販売されている人気アイ テムのひとつです。このチョコレートはケーキと同じ扱いであり、冷蔵庫で保存します。「チョコレー ト」に「生」をつけることで、新しい市場を生み出しました。これもネーミングの一例です。

さらに、各メーカーでは「生チョコレート」から一歩踏み込み、オリジナルのネーミングをつけてい ます。前職の洋菓子メーカーでは「銀座のレンガ」というネーミングでリリースしました。広くぼんや りとした生チョコレートの世界から、「銀座」そして「レンガ」と命名することで、ひとつの世界が立ち 上がってくるのがわかりますでしょうか。

銀座のレンガという世界観に合わせて、パッケージ、ディスプレイ、宣伝など、売り方の展開が決 まっていきます。最初の入り口が「ネーミング」なのですが、その作り上げた世界観の精度によっ て、お客様に伝えたいメッセージが届くか届かないが決まります。世界観がなければブームになら ず、不発に終わるケースが多いです。

実務経験のなかで、ブライダルカード、洋菓子、イベントプロモーション、システムなど様々な分 野のネーミングに携わってきました。ネーミングが決まった瞬間に世界が立ち上がり、そこから売り 方が具体化され、実際に商品がヒットするのは筆舌に尽くしがたいものがあります。売れなかった 時には「世界ができていなかった」「世界観が伝わっていなかった」とすぐに検証し、再度リニュー アルをかける、の繰り返し、試行錯誤も計算のウチです。

売れる、売れ続けるためには、お客様に伝わる世界を構築する必要があります。ネーミングだけ が良くても、プロモーションだけが良くても、お客様には伝わりません。 ネーミングは、天才的な思いつきでも閃きでもなく、設計された建物の「入り口」と考えてみてくださ い。その建物はあたかもネーミングという「魔法」のひとふりで一瞬にして出来上がったかのようで すが、実は精緻に設計された世界が、後ろに隠されているのです。弊社ではこれを「世界観ネーミ ング?」と名付け、収益増のプログラムに組み込み、提供しています。