自社は「人」と言い、お客は「商品」が命と言う。 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第3話

約20年あまりの実務経験のなかで、今まで400人以上の経営者、そしてエクゼクティブの方達と出会ってきました。商品戦略に関わってきて、私がいつもする質問はたった二つです。それは「御社の強み、魅力は何だと思いますか?」「問題に感じていることはどんなことですか?」です。

この二つの質問に対する答ははっきりしています。まず、約半数の方が「人」の問題をロにされます。人が育たない、管理職が部下を管理できない、人手不足だ、やる気がない…等々。そして、3割が「売り方」についてです。どうやってアピールしたら良いのか、販促費がかかるばっかりで効果が出ない…残りの方は商品と経営戦略についてです。ヒアリングを進めていくと「実は自社商品に自信が持てなくなってきた。強み、弱み、何が求められているのか分析シートを埋めるのだけど、正直腑に落ちない、わからない…」等々です。いかがでしょうか。私はいつもこの場面に遭遇すると、これは事業経営にとって大変危険なことだと強く感じます。

昨今、経営学やマネンジメントブームの中、例えば「人材は人財である」「会社は人なり」という考え方が広く浸透し、いい会社を目指して努力されている中小企業がたくさんあります。この考え方と方向性は経営における本質であり、否定するつもりはありません。しかし、企業にとって最重要課題の一つである「収益増」という視点で考えてみてください。

まず御社の商品サービスを手にとって買ってくれるのは誰か。それは他ならぬ「お客様」ではないでしょうか。商品サービスこそが会社の生命線であり、お客様こそが会社を豊かにする「源泉」ではないでしょうか。このことをしっかりと理解しない限り、人材や売り方、販売促進についてどんな手を売ったとしても、中途半端な成果しか生まれないのではないでしょうか。

商品リニューアル、つまり商品戦略は、企業において開発部門、企画部門、デザイン部門それぞれに分業され、商品にかかわるネーミング、ロゴマーク、パッケージデザイン、プロモーションなど、その一つ一つを取り出して専門業者に代行してもらう会社が多いです。大手企業になればなるほど、技術・品質にかかわる商品開発は自社でやり、商品の「外側」は大手広告代理店に丸投げ、というケースが主流です。

商品リニューアルは会社の生命線となる商品戦略であり、経営を大きく動かしていく基幹となります。しかし、中小企業ではその重要性に気づかぬまま、または無自覚なまま先送りしがちです。それは、冒頭でも書きましたように、人材にかかわる問題に気づくことはできても、商品に関しては意識が二の次三の次になっているからです。

もしも経営者自らが商品戦略に意識を巡らせ、リニューアルの必要性に気づき対処しようとしても、経営資源不足から外注できない、または人材不足で社内対応できない、頼めるプロがいない…ということになり、結局は商品寿命が尽きた商品やサービスを抱えながら、リニューアルを先送りにせざるをえないという状況ではないでしょうか。この現状に、居てもたってもいられない危機感を覚えます。

商品リニューアルとは企業にとって収益増に直結する包括的な活動です。アイデアやひらめき、といったもの、パッケージデザインを新しくすれば魔法がかかったように商品力が上がる。そう考える経営者もおられますが、商品リニューアルとは売上を永続的に出し続けていく「仕組み」です。

御社における現状の問題認識、アイデアの創出、決断、実践、検証、ブラッシュアップを繰り返していく活動で、体系化されてはじめて売上につながってゆくのです。事業経営において直結する商品戦略である、商品サービスのリニューアル。当然、事業経営の最高責任者である社長自らが先頭にたって挑んでいかなければなれません。社長直轄の商品リ二ューアルを実践していくことが必要不可欠です。

お客様に強く求められ、要求を満たす商品リニューアルを図り、永続的に収益を生み出していく。そんな強い覚悟そして強靭な決意が要請されているのではないでしょうか。会社は、商品なり。社長、今こそ、先送りしてきた商品戦略に力を入れるべき時なのです。