利益を生む商品リニューアル発想法 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第104話

立春を迎えました。冬から春へと季節が変わる時です。自然界の営みと同じように、商品サービスのリニューアルも、事業の善循環において必然的手法です。とくに今年は「元号改変」「消費税増税」「東京五輪前のインフラ整備」など、さまざまな外的環境の変化が生活者心理に絡み合って影響してゆきます。わたくしたちコンサルタントも含めて、一般的に「ビジネスは、人だ、財務だ、マーケティングだetc」と、さまざまなことが伝えられます。世の中が複雑になればなるほどノウハウ的なツールが提示されます。

 

しかし、事業において最も大事なことは「原点回帰」と「リューアル」です

 

原点とは何か。それは「お客さま」です。どんな企業も、その主役であり支配しているのは「お客さま」です。今をときめく大企業も、最初の一歩は「たったひとりのお客さま」よりスタートしているはずです。時代環境でお客さまが減ろうと増えようと、常に原点に立ち返り「いい商品サービスを提供してお客さまに喜んでもらう」こと。そして、お客さまは日々変化し、成長したいという「自己更新欲求」をもっています。このお客さまの要求と欲求に合わせて、商品をリニューアルし「これ美味しかったよ」「あそこ良かったよ」を増やしてゆくことが成功へ道です。

 

昨日は東京駅近のKITTEにある、京おばんざいの店「菜な」で会合がありました。「菜な」は野菜と和食中心の人気店。そのメニューから女性のお客様が多いのが特長です。中でも口コミで人気なのが「チーズ豆腐」で、チーズのコクと深い甘みのある豆腐のまろやかな味わいが魅力です。このチーズ豆腐は店舗の厨房で手作りされている「自家製」。大きな鍋で手をかけ時間をかけて作り、その味わいに女性客のリピーターが多いそうです。このようなストーリーをお店の方から教えてもらうことで、さらにおいしく感じ、さらにお店への愛着が増してゆくものです。当たり前のことですが、対面を含めた情報の「発信力」が問われる時代です。

 

しかし、実はその真逆もアリで、事業体では「発信していない」にも関わらず、黒山の人だかり、という場合もあります。例えば、東京・新宿駅界隈にあるA医院です。ホームページもない町の小さな病院ですが、遠くから患者さんがやってきて、つねに待合室は混んでいます。

 

このA医院との出会いはわたくし自身、衝撃的でした。実は1年ほど前、秋から冬にかけて大人のニキビに悩まされた時期がありました。コンサルタントという仕事柄、自分の事情で暗い顔をするわけにはいきませんので、とにかくすぐに皮膚科を受診。地元の皮膚科から都心の皮膚科を数件を渡り歩きました。

 

皮膚科の治療方法はどの病院も似たり寄ったりでした。塗り薬、飲み薬、ビタミン剤の処方です。2週間様子を見て、薬を変えて、、、というくりかえし。さらに、病院によっては化粧品メーカーとつながっていて、単価4,000円以上する肌ケアアイテムがあり、使ってみるように指導するところもありました。民間療法的な高額商品もたくさんリリースされています。皮膚科での治療がうまくいっていないゆえに、そういったものを片っぱしから注文しましたが、まったく効果がありませんでした。封を開ける時の期待、夜に試し、朝の鏡を見たその時の失望・・・その「落差」が辛いのです。

 

半分諦めかけていた折、家族から「ネットにこんな記事が出ていたけど」ということで、ある一般男性のブログに出会いました。その方も同じような道筋で病院を転々とし、さまざまな化粧品を試し、希望と失望をくりかえしながら、改善しなかった。そして、インターネットの口コミでA医院を知り受診、そして快癒。藁をもすがる気持ちで、わたくしも受診しました。その結果、幸運にも快癒いたしました。

 

A医院は、私鉄の駅から徒歩15分ほどの立地です。先代から続く病院の外観は古く、どこにでもある町医者です。が平日の夕方、小さな待合室には人がいっぱいでした。日によっては中に入れないこともあるそうです。

 

A先生の指導は、地元の無名メーカーといっしょに作った700円の固形石鹸で洗顔することだけです。その他に、最新の塗り薬、一般的な抗生物質を使うシンプルなやり方。もちろん保険内診療です。高価な化粧品も不要です。

 

先生曰く「ニキビっていうのは〇〇〇〇ことがいちばんなんだ。ぼくはね、そう考えています」と。30数年の現場経験と実績に裏打ちされた専門性を発揮された治療です。既製品に頼らず、オリジナルで調合した塗り薬を出します。メーカーといっしょに作った固形石鹸や化粧品…そんな独自アイテムをラインナップしています。一般的な既成の薬を使う皮膚科とは、まったく違うオリジナルの取り組み方、本気度が違います。その熱量、情熱、熱心さ、そして成果が評判となり、クチからクチへと伝播され、遠くから患者がやってくるのです。

 

マーケティングの現場では「今の時代はホームページやSNS等で発信することが大事」だと伝えられています。実際にわたくしが通った病院の多くは、ホームページもレビューも素晴らしいものでした。施設内外も美しく、設備も立派でした。しかし、A先生が発揮する専門性、その「腕」には負けています。どの病院も、その他大勢の「治療」に甘んじていました。

 

お客さんの欲求に合わせて商品を磨き上げること。欠点を改善しリニューアルすること。より喜んでいただくためのネーミングやパッケージデザインにリニューアルすること。より手に取っていただけるような売り場づくりとわかりやすい売り場の展開にリニューアルすること。商品サービスを通して会社とお客さまがもっと仲良くなるための、もっと楽しくなるためのコミュニケーションの場づくりを再構築すること・・・。

 

ネット時代、情報発信は非常に大事な要素のひとつとなっています。しかし、情報発信する、しないは枝葉にすぎません。生活者が求めているのは、本質的な商品サービスです。価値ある商品とサービスです。わたくしたちの目には見えない悩み不安課題問題を解決したり、心を満たしたり嬉しい気持ちにさせてくれる商品サービスが欲しいのです。会社都合で作られた商品サービスは、あっさり見透かされている時代です。冬から春へ、新しいシーズンがスタートしています。事業の原点を見つめ直し、商品リニューアルを実践してゆきましょう。売上利益拡大のために、御社でできることがたくさんあるはずです。