未来予測の技法 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第106話

わたくしどもは、個人事業から中小、大手企業の商品とサービスのリニューアルをお手伝いしております。従来定義において商品サービスには「新商品」と「既存商品」の開発というふたつの方向性があります。しかし生活者が豊かになった時代、オファーの多くが「新商品開発」というテーマではあるものの本質的に求められているのが「商品リニューアル」です。先んじて弊社は創業より新しい時代の商品プロデュースをテーマに、“新商品開発とは既存商品の「リニューアル」である”をモットーに視点をあげ、視野を拡げ、独創的手法で商品プロデュースのお手伝いをしております。

 

ゆえに、既存商品の実績、他ブランドにおける類似商品の実績、市場トレンドやマーケティング要素に着目し、包括的な仕組みとして商品リニューアル戦略の策定をしております。わたくしどもはこれを「商品リニューアルモデル」(下図)と名付け、方程式化しております。

 

 

生活者と御社商品サービスを結ぶ使命を果たすために、「市場トレンド」「マーケティング」「認知心理」「データ」「現場」という5つの要素を掛け合わせてリニューアル戦略を策定しております。これにより、商品リニューアルモデルを御社に定着させることで、時代がどんなに変化しても、その変化に対応できる先見的な視点が育ちます。そしてマーケットに対して「変化」という刺激を自発的に仕掛ける、具代的に実践できる体質へと生まれ変わります。

 

このモデルを進めてゆく上で、もっとも大事なポイントが2つあります。

1つは「出口」から考えること。そして、もう1つが「意思決定」です。

 

まず1つ目の「出口」から考える、ということですが、簡単に言えば「目的」から考えるということです。商品開発の現場では、経営者・幹部をはじめ。様々な部門の方が参画されます。まず、プロジェクトにおいて「何のために商品をリリースするのか」という目的を決めて、コミットすることが何をおいても重要です。何をおいても、です。

 

ある商品サービスが売れる、ヒットする(または売れなかった)時、その原因、そして理由は複雑に存在します。ひとつひとつの要素が影響し合っているものです。例えば、ある商品が出来上がりました。専門家の分析データでトレンドを科学し、テレビコマーシャルとインスタグラマーによるプロモーションがとても好評だったとします。しかし小売店の売り場では人手不足もありモチベーションの低い現場で、生活者のテンションに追いついていない。もちろんゴールデンスペース(自然に商品が視界に入ってくる手に取りやすい位置)には置いていない。結果、売れなかった。またある売り場では、プロモーションに合わせてコーナーを作り、さらに既存商品もいっしょに展開。結果、お客様のついで買いが促進され、売上増です。

 

お客様が買う理由、そして買わない理由、どちらもさまざまな要素の掛け合いです。戦略が「完璧」ということはあり得ません。ましてや、企業によっては、外部専門家によるトレンドやマーケティングについての社内研修を組み込んでいる場合もあります。現場ではVMDやPOPの研修を組み込むかもしれません。「目的」が、関わる人たちにシェアされていなければ、働き方改革の時代、研修等は忙しい現場にとって負担です。ますますモチベーションがダウン。お客様の心を動かすことなどどうなのか、ということです。「何のためにやるのか」という目的が明確になっていなければ、必ずモチベーションが潰えるのです。淡々と実践と検証をくりかえしてゆくためにも、「何のための商品リニューアルなのか」を明確にしてください。

 

そして、ふたつめは「意思決定」です。それぞれのプロセスにおいて、しっかりと自社でプロジェクトメンバーで「決める」こと。そして、決めたことを「実行する」と決めること。事業体が大きくなればなるほど、ビジネスの仕組みがしっかりと出来上がっています。反面、前時代的な「考え方」や「手順」といった業務の流れができていて、習慣的かつ「無意識的」に仕事をしているはずです。思考を停止していても仕組みが回るゆえに恐怖感がありません。ゆえにマーケットの変化に対して鈍感です。全て「意図して」「意識的」に実践する。これが商品リニューアルにおける「意思決定」のポイントとなります。

 

 

さて、冒頭お伝えしましたように、商品開発戦略の本質は、既存商品の「リニューアル」です。人類の進化、テクノロジーの進化により人類は超成熟の時代を迎えています。良い価値と良い価値を掛け合わせて、もっと魅力的で圧倒的な価値を提供する時代です。弊社が提示した方程式のひとつひとつの要素をぜひチェックポイントにして、御社の今を点検してみてください。

 

具体的には、トレンドをみて傾向や流行をつかむこと。マーケティング要素を点検して、時代にあったプロモーションをしていくこと。認知科学の知見から男女の差異を知ること。人間研究を深め、わたくしたち自身のバイアスを取り除いてゆく。そして、その上でデータを見、裏付けてゆく。そして、最も大事なことが「売る力」です。コラムでいつもお伝えしておりますように、営利企業の本質的基盤は「商い」をすることです。お客様に御社の商品サービスを買っていただくことが御社の生命を支えています。ネットであろうと、リアルあろうと同じです。かつて、たくさんの人が集まって「市」が発展したように、商売の本質は、お客様の集まる「場」をつくり売る力を発揮していくことです。現場力=「売る力」です。大切なことは「何のために」やっているのか。そして、意図して「決めて」進んでゆく強い姿勢です。

 

今後さらにテクノロジーが進化してゆきます。すでに暮らしの多くがインターネットにつながっています。成熟社会における新しい方程式を打ち出してゆきましょう。御社の生命線である商品サービスを「市場トレンド」「マーケティング」「認知心理」「データ」「現場」という5つの要素から見直してみてください。それぞれの要素には、いままで御社が蓄積された大切にしてきた考え方、やり方があるはずです。その普遍的な価値はそのままに、時代に合わせて考え方をリニューアルするだけで行動が変わります。そして、飛躍的にチームの力が伸びて、結果、商品サービスのプロデュース力が高まります。

 

わたくしたちは、良い価値と良い価値を意図して掛け合わせ「新しい価値」をマーケットに仕掛けてゆくタフな骨組みとやわらかな循環づくりをお導きしています。出口から俯瞰すること。そして、AI、他者や専門家に委ねることなくご自身が、関わっている皆様が「意思決定」すること。意思決定がしっかりとできるよう、5つの要素をコーディネートする力が必要不可欠です。

 

長くなりました。わたくしが社長にお伝えしたいことは、たった1つのことです。未来、それは不安でしょうか、それとも光でしょうか。データサイエンティストたちがたくさんの手法で未来を描き出しています。様々な研究者がそれらデータの「事実の読み方」を示唆してくれています。何が正しくて何が本当なのか、ますます考えてもわからない時代です。しかし、いつの世も、先に気がついたたった一人の勇気が世界をそして未来を変えてきました。「変わろう。」という社長の決意。そして、社長の「たった一人で打って出る」意識。わたくしは、これからも全身全霊で支えてまいります。