時代を超えて生き残る商品リニューアルの奥義 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第115話

「平成」も残すところ1週間となりました。

コンサルティングの現場では“旧”から“新”時代へ意識の移行期間となり、希望とともに不安もあるという相反する経営者心理を感じとる場面が増えています。一般的にもトレンドワードを調べると「ブランディング」や「理念」といったキーワードが上昇傾向にあります。新しい時代を迎えるにあたり自社と向かい合う姿勢、模索、ビジョン再構築の時を迎えています。

 

こうした流れの延長線上にあって、注目されているのが自社の「商品サービス」の見直しです。直近のご相談では、商品リニューアルはもとより「商品構成の絞り込み」「撤退」そして「新商品開発」をどうしようかと悩まれている経営者さまが多いです。つまるところは売上の話となって「ウチは大ヒット商品が出てから○十年。令和元年にそれを超えるヒット商品を出したい」と明言されます。

 

一般的には「仕掛けてナンボ」と言われるヒットやブームですが、現実世界ではまったく逆で、実のところ「意図しないものが流行る」側面が強いものです。今の時代はSNS が媒体として強いので、ますますそうした傾向です。したがって今新商品開発に果敢に挑戦できるのは、力のある大手企業です。実際に既存のヒット商品を超える新商品開発に挑まれている企業様のお手伝いをしていますが、国内外の商品サービスであふれる時代ゆえ、商品力、ブランド力、人材力といった経営資源が豊かな大手企業でも非常にシビアな戦いとなっています。

 

わたくしの前職でもヒット商品の呪縛が強く、生菓子であれば 「ジャンポーシュークリーム超えの新商品を開発する」とか、喫茶メニューでは「チーズケーキパフェを超える大ヒットホール商品を」というのが暗黙の命題でした。そのウラには人間的な心理があり、「ジャンボーシュークリームの〇〇」といった買い手の心に深く刻まれたレッテルを剝がしたい。剝がして事業ステージを上げたいという成長欲求が隠されています。

 

しかし、実際にはそうカンタンなことではなく、優秀な商品開発チーム、企画チーム、営業チーム一丸となって挑戦してもなかなか大ヒットの壁を越えることはできないものです。「商品開発秘話」に見られるようなストーリーは脚色されており、むしろ現実世界においては「意図しないものが流行る」側面が強いと心得ておくことが重要です。

 

意図してブームを仕掛けてゆく姿勢は必要不可欠です。が、実際のブームやヒットは作り手の想像力を超えてまったく意図していない「時(タイミング)」や「場所」で生じます。つまり企業において一つのヒット商品を出すということは非常に幸運なこと。大ヒットであれば幸運を超えて「奇跡」と考えるべきです。

 

先のヒット商品を超える新商品を、そんな風にお考えでしたら、一度突き放してみてほしいのです。新しい時代を迎える時だからこそ、自社商品サービスについて考える時間をつくってほしいのです。「新商品」「ヒット」「売上増大」といったワードをいったん疑ってください。

 

時代は変化し、わたくしたちの価値観が大きく生まれ変わっています。ほんとうにもう暮らしまわりは「モノだらけ」「情報だらけ」です。お腹はいっぱいです。強く激しい欲望さえ懐かしい思い出です。「必要なモノ」などありません。暮らしにおいて「満ち足りている」状態です。

 

新しい時代を迎えるにあたり、 

・わたしたちの考え方は古くなっていないか。

・商品サービスであふれている時代に、

 「新商品」を投入してゆくのはなぜか。

 

経営者は、事業経営を全体から俯瞰するために羅針盤として「経営計画書」を作ることに注力します。それだけで満足してしまってはダメです。同じエネルギーを注いで、むしろそれ以上に商品サービスについて全体像を包括し、世界観を再構築することが要請されています。買い手に必要なものがなくなってしまった時代、自社商品の代替品がこの世の中に五万とあふれている、という事実をシビアに考えてみることです。

 

例えばポケモンのように時代を超えて愛され生き残る商品やサービスがあります。線香花火のごとく散ってゆく商品サービスもあります。この違いは何でしょうか。

 

時代を予測することはむずかしい。しかし時代とは「巡る」ものです。春夏秋冬と同じように循環しています。過去を学ぶことで、次に何が来るかの「匂い」を感じることができるのです。そして、時代は変化し進化しています。今までは女性のものであった「メイク」。最近は「身だしなみ」として2030代の男性に広がっています。女性に向けて手がけていた商品が男性に歓迎される時代がやってきています。「女性」「男性」というバイアスも超えてゆく時代の大きな変化です。自社商品が生きてゆく場所が「変化」していることを示唆しています。

 

商品サービスも、作り手である人も企業も、リフレッシュしましょう。時代とマーケットが変化し、進化しているように、わたくしたちも変わらなければなりません。商品リニューアルの仕組みを定着させることは、何度も生まれ変わり「新しくなる」ことができるということです時代を超えて生き抜く力を手に入れることです。

 

商品リニューアルとは経営戦略であり「進化経営」そのものです。いよいよ新しい時代を迎えます。心を澄ませ、新しい時代の商品サービスの真髄を究めましょう。時代を超えて生き残るために今こそ自社商品サービスの研究をしましょう。過去のヒット上等、商品リニューアルで大事に育ててゆきましょう。