儲かる“不動のストライクゾーン”開発法 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第116話

まもなく退位の儀がはじまり、午前零時には新しい時代を迎えます。この1週間は改元アイテムの視察で都内の人気スポットを店舗廻訪いたしました。作り手は「祝賀ブーム」を仕掛け、上手にわかりやすい商品リニューアルを実施している店舗がたくさんありました。一方、作り手の仕掛けとは全く関係ないところで、昨日の東急ハンズは非常に混雑していました。

 

改元アイテムのチェックで、新宿高島屋そして東急ハンズ新宿店へ参りました。大型連休とはいえ、東急ハンズ4階売り場の混み具合と殺気立った熱気は異常であり、人、人、人で溢れていました。いつもと混み具合がちがうと思い店員さんにヒアリングすると、前日のテレビ番組で売り場が紹介され、店員推しの「洗濯マグちゃん」というお洗濯アイテムを紹介したところ、マグちゃん目当てにお客さまが殺到、オープン前から長蛇の列だったそう。マグちゃんは午前中で完売し欠品。マグちゃんを入手できなかったお客様が店内を回遊し、ごちゃごちゃっと人であふれていました。

 

売り場では雅やかな祝賀ディスプレイで特別コーナーを作り、スイーツや日本酒などの食品だけでなくお箸や茶碗などのライフスタイル商品までが祝賀リニューアルで華やいでいましたが、マグちゃん熱には敵わない雰囲気でした。「改元目前の時代の変わり目」と定義するのは作り手売り手の勝手であり、生活者が殺到するのは昨日テレビで紹介された「節約便利グッズ」。いつもの洗濯アイテムの便利グッズを「見てみたい!!」「使ってみたい!!」「明日にでも欲しい!!」と思い、街まで買いに出てくるのです。もちろんネット注文や類似品の購入も増えているはずです。

 

作り手売り手は綿密にフレームを設計して買っていただく施策を打ち出しますが、生活者の購買行動は非常にシンプルで、動物的です。ある世代にとってはテレビの反響はいまだ強く大きいものです。ミレニアル世代にとってはSNSのインフルエンサーが強い影響力を持っています。

 

わたしたちは、天気が良ければ外出しますし、雨が降っていれば外出せずに家で過ごします。暖かくなれば開放的になり、寒いときは心が縮こまり出不精になります。新しい時代を迎えれば、お祝い事として素直に祝いたいと思います。一方ゆく時代を惜しんだり寂しい気持ちにもなります。

 

今もどこかで人と人とが出会い愛し合うでしょう。人との別れはさみしく、叶わなかった恋はせつないものです。だれかに否定されれば傷つき、共感されれば安心します。いくつになっても褒められればうれしいでしょうし、隣の芝生がうらやましく映ることもあります。昭和、平成と時代が進化しても、日常のささやかな出来事を、喜んだり怒ったり悲しんだり楽しんだりして生きています。こうした日常的な感覚、心のストライクゾーンは不動です。

 

最近コンサルティングの現場では「先生、マーケットインとプロダクトアウトですが、ある講師の先生にモノ余りの時代、お客さんのニーズで考えていたらヒットするものなんかでない。プロダクトアウトに寄った方がいいですよ、と言われました。しかし実際にはイノベーションを生み出すような凄いモノを考え出すことなんかではないと思うのですが・・・」という質問がとても増えています。

 

製品開発部門であれば生産者発想でありプロダクトアウトが基本的な考え方です。逆に営業・販売部門からは消費者目線のマーケットイン。マーケットインでなければモノは売れない、という姿勢です。中小企業の場合、製販部門など確立せずに兼務が多いので、ごちゃごちゃになる場合が多いです。

 

また、時代のフレームの中でも変化してきました。昭和から平成時代に入って消費者目線の「マーケットイン」が重要視されてきました。平成末期の今では、マーケットの超成熟時代で「消費者のニーズからはイノベーションは生まれない」と革新性が求められています。ご質問のように、マーケットインではなくむしろプロダクトアウトが大事だ、という声が強くなりつつあります。

 

前出の「洗濯マグちゃん」の大ブレイクはテレビ取材ですが、考え方のフレームにとらわれてリリースが遅れてしまうよりも、むしろ世の中に出してみなければわからないのが今の時代です。商品戦略の「入口」「出口」を設計した上で、弊社ではマーケットイン、プロダクトアウトをプロセス化しています。

 

 

商品サービスの作り手は「人間」です。宇宙の視点で見れば、おなじ地球の住人であり、それぞれの国の住人であり、その国その地域のマーケットを動かす生活者です。

 

経営者はじめ製品開発者もひとりの人間、ひとりの生活者です。そこを起点にプロセスを経てプロダクトとして生み出したものを実際のマーケットに投入します。そこからさらに検証しフィードバックし改善してゆきます。仕組みとしてチームに定着させることで、マーケットイン→プロダクトアウト→マーケットインという循環(頭文字をとってMPMと呼んでいます)が生まれます。

 

昭和、平成、そして令和へ。時代がどのように変化変容しても、わたくしたち生活者の心のストライクゾーンは不動です。さまざまなマーケティング手法、ノウハウ、考え方が百花繚乱の世にあります。時代の節目というドサクサに紛れて咲く花もあるでしょう。

 

まず経営者ご自身が生活者としてひとりの人間に立ち返ること。お客様の生活感覚に近ずくことが非常に重要です。実感としてリアルに感じる「心理」を深掘りしながら「実はこうゆうの欲しかったよね!」という新しい世界観を生み出してお客様に提供することです。そして再び、マーケットの変化に合わせてリニューアルアウトしてゆく姿勢が必要不可欠です。そのための仕組みづくりがとても大事です。

 

ますます感性を研ぎ澄ませ「人」に向かってゆく時代となります。データを重視しながら活用しながら、ある時突き放し生身のリアルに向かう相反した思考が要請されています。わたくしの商品リニューアルにおいて新しい時代を「人間研究の黎明」と再定義しています。