必ず売れる!甘セクシーなネーミング戦略 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第136話

ズバリ、商品の「ネーミング」だけでヒット商品に生まれ変わることがあります。案外「そんなもの?」と疑問に感じられることでしょう。また頭で理解されている方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際のところ「ネーミング」にこだわってご商売できている会社は案外少ないものです。

 

例えばいま、目の前に「みかん」があります。イオンで買ったオレンジのネットに入ったみかんです。青々としています。ネットには簡素な印字シールが貼ってあります。そこには「みかん宮崎産」と書いてあります。一方、もう1袋、みかんがあります。これもオレンジのネットに入っています。地元の農家で直売され、こちらにも印字シールが付いていました。

「\秋の収穫祭/濃くみかん 世田谷育ち 」

みかん S 宮崎産」

どちらが美味しそうに感じるでしょうか。同じ価格だとして、どちらが欲しくなりますか?

 

わたくしが住んでいる街はカフェの激戦区です。中でもトレンドであるコーヒー豆を焙煎して提供する店が4店あります。となり街にはロースタリー&カフェの先駆者「堀口珈琲研究所」が鎮座しています。こうした高付加価値店のほか、ドトールやスターバックスが2店、コンビニエンスストアが5店あります。コーヒーをめぐっては熾烈な外部環境です。

 

生活者目線でみれば、この数年でどの焙煎カフェもレベルをあげ、味と質の良いコーヒーが手に入るようになりしまた。コーヒー好きの友人たちにお気に入りの店を聞いて回っても、その多くが「“お気に入り”などない。どこも美味しいから全部好き」と言います。「あなたはどこのコーヒーが好きですか?」とか、イタリアンであれば「どこの店がお気に入りですか?」といった質問に即答できる方は少ないのではないでしょうか。質問と同時に心の中で「ここの店もあの店も、あっちも・・・」と次々とご自身の中にあるデータが出てくるはずです。

 

焙煎方法ひとつとっても、浅煎りとか深煎りとか様々で個性の出し方があります。しかし「何だか難しそう」「ローストの知識ってマニアでもない限り面倒臭い」というのが生活者の本音です。日々情報の洪水の中で暮らす生活者にとって「うんちく」は価値ではないのです。ネットで検索すれば出てくる情報ならば尚さら不要です。情報よりも直感重視で「お店をパッと見て」「接客の感じが良かった」「試飲が良かった」といった「直感」で入店し買い物する時代なのです。

 

焙煎カフェの話に戻りましょう。例えばある店では、手書きの黒板POPに4種類の季節限定商品を紹介していました。

そのネーミングは

・秋の収穫祭ブレンド〜新収穫豆〜

・秋香り ブラウンハニーブレンド

・秋のこく豊か ヨーロピアンブレンド

・こってり 秋の完熟ブレンド

という4種類です。たったこれだけのことです。ですが他社では「産地名」の組み合わせがほとんどです。

 

4つのネーミングをイメージしてみてください。おそらくコーヒーという嗜好品がお好きな方なら、スイーツもいっしょに食べたくなるのではないでしょうか。「新収穫」「ブラウンハニー」「こく豊か」「こってり」「完熟」といった、食に関する言葉を織り込んでいる点が、刺激のツボになっています。地域や店名の名前を入れた「秋のケニアブレンド」といった名前と並んだ時、テンションがあがるのはどちらでしょうか。買い物の主役たちはどちらが欲しくなるでしょうか。

 

ひるがえって、自社ビジネスを点検しましょう。ライバル店も大手量販店も、海外のブランド店も、どの店も商品サービスを磨き上げています。もちろん地域差があるでしょう。しかしそうした差も時間の問題です。遅かれ早かれ商品サービスは進化し成熟します。「パッケージデザインが素敵」とか「ネーミングが面白い」とか「見たことがない」「目新しい」「意味がわからない」「わけがわからないけれど、何だかスゴイ!」と感じさせたら、勝ちです。「わかりやすさ」や「説明的」、「情報量が多い」ということにお客様は価値を感じません

 

この傾向は10月の増税後にますます強まってゆくでしょう。なぜならお客様は「恐れている」からです。「お金をつかう」ことに恐怖しているからです。お金をつかいたくないのに、「何か買わされるのではないか」という恐怖で震えています。

 

事実、朝の情報番組、病院や美容室で手に取る雑誌をチェックしてみてください。オレンジページ、Mart、サンキュ!、レタスクラブ等です。「節約」「倹約」「貯蓄」といった言葉が、企画が踊っています。100円ショップのアイテムを使った節約方法が大人気です。お金を使うことへの「恐怖病」が拡がっています。ゆえに、ますますネットショップは活況です。「ラク」だからです。生活者にとって対面しない買い物は気楽です。お金をつかうことが怖くなったら、逃げてしまえるのですから。

 

お客様がお店に足を運んできてくれること自体が貴重なチャンスです。御社のネーミングは「みかんS」でよろしいでしょうか? 心の中で「ネーミング、ちゃんとやってるよ!」とつぶやかれましたでしょうか。言葉はイキモノでありナマモノです。焦りは禁物です。言葉はすぐに古くなります。しっかりとネーミングリニューアルを仕組み化しましょう。

 

いちいち広告代理店に頼んでいられないし、自分で名付ける自信がない。ということであれば、ますます商品リニューアルの仕組み化をオススメします。プロじゃなきゃネーミングは作れない、というのは思い込みです。必ず自社でできるようになります。ネーミングリニューアルでヒットを飛ばせますが、そのやり方が社内に蓄積されていなければ、ヒットは一度キリとなります。永続させるためは仕組みが必要不可欠です。

 

お金をつかうことを恐れているお客様が目の前にいっしゃいます。語れば語るほどお客様は震え上がります。いま、お客様が求めているのは恐怖からの脱出です。お客様の想像を裏切る、想像を超えてしまうネーミングに出会いたいのです。物語にひたれるような、感覚を揺さぶる可愛くて、甘くて、セクシーで、たのしいネーミングにしましょう。同時に見せ方も工夫しましょう。売り方もネーミングに合わせて変えてゆきましょう。

 

そしてお客様を勝たせてあげるネーミングにしましょう。お客様を買い物の恐怖から救って差し上げるビジネスを展開しましょう。お金をつかう恐怖に打ち勝っていただき、御社商品サービスでより楽しく豊かになる未来を提供しましょう。買い物の喜びに今再び目覚めてもらいましょう。古いやり方や古い価値を脱ぎ捨て、五感を揺さぶる商品リニューアルを実践して、お客様といっしょに新たな未来を作るチャンスの時です