大きく飛躍するための商品リニューアルの考え方 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第137話

リアルな売り場を廻っていると「うわぁ、これじゃ売れないよね」というお店があります。一方「うわぁ!これは売れるね」というお店があります。このことはオンラインショップにおいても同じです。「これは売れる!」という店の中でも、特に進化しているのが過疎地域発のブランドです。人口4、5百人といった地域の工芸店が商品リニューアル、爆発的ヒットを生み出し次々と東京進出し、新しい価値を生み出しています。

 

そのひとつに「中川政七商店」があります。東京駅構内にもショップがありますので、ご存知かと思います。蚊帳ふきんが代表作です。この会社は、奈良創業の会社で、300年の歴史を誇る麻織物の老舗です。2002年に後継者である中川淳氏が富士通を退社し中川政七商店に入社。当時は売れない商品を生産し続けるなど、経営課題が山積。企業ビジョンもない状態でした。

 

中川氏は経営を立て直すために商品のリニューアルを決意。商品アイテムを整理し、柱となるコンセプトを打ち出して2003年にライフスタイルブランドを起ち上げました。これが現在の躍進に転じるきっかけとなっています。今はブランディングを主としたコンサルティング事業や、地域活性事業など4つの事業を柱として進化しています。この11月には大規模複合施設としてオープンする「渋谷スクランブルスクエア」にフラッグショップをオープンさせます。

 

そのほかにも世界遺産・石見銀山で有名な島根県太田市生まれの生活雑貨「群言堂(ぐんげんどう)」もしかり。創業30年で日本全国の百貨店に出店し、成果を出しています。目線を変えて、海外の発展途上国で製造販売することを志し、生活雑貨をプロデュースしている日本のブランド「Mother House(マザーハウス)」も同じ流れです。

 

どの企業もスタートアップには自社の「強み」をリニューアルし、まずは小さな成功を積み上げています。中川政七商店であれば麻織物という「布」、群言堂は手仕事の「パッチワーク」、マザーハウスはバングラディッシュの黄麻「ジュート」の商品リニューアルから始まっています。

 

着目したいのは「デザインのちから」でパラダイムシフトを起こしていることです。「強み」を活かしてコツコツ努力を重ねる、といったやり方ではなくて、思い切って商品デザインを変えることで、ビジネスの仕組みを変えていることです。スタート時はスピードが生命線。「自社でできる範囲で」の発想では、中途半端になってしまいます。大きく投資しない限り大きなリターンはありません。これが飛躍への原理原則です。

 

飛躍するための「デザイン」とは、パッケージデザイン、広告宣伝、販促ツールのビジュアルといった「見て感じる」ものをリニューアルすることはもちろん、包括的なデザインリニューアルを意味しています。そもそもデザインの語源はラテン語/designareです。その意味は「ある方向性を示し計画を進める」ということで「設計」の意味で使われていました。

 

今、売れている、稼いでいる会社は「ひとつの方向性」を示しビジネスの全体設計が細やかです。商品、店舗、売り場のデザイン、人員配置、どれもが調和しています。オンラインショップも調っています。使い勝手が良いので気持ちよく買い物することができます。パッケージデザイン、販促ツールのデザイン、文言、コンセプトも明快。リアル店であれば、どなたの接客も爽やかです。トークが整理されています。

 

ゆえにわたくしたちは「買うこと」に一点集中できます。香りや音の演出も、コンセプトごとに導線が設定され混じることがないので心地よい演出です。別の表現で書けば、成功している企業は、あらゆる点で「ごちゃごちゃしていない」のです。「見て」「触って」「嗅いで」「聴いて」「口に含んで」という五感で感じる全てにおいて、ごちゃごちゃしていません。

 

デザインとは「設計」であり「仕組み」です。そしてデザインの本質は「だれもが気持ち良いと感じたときシェアされる」効果です。ごちゃごちゃしているデザインは不快ゆえに「シェア」されません。「うわぁ、これじゃ売れないよね」の原因がここにあります。商品企画、マーケティング、販促、PR、接客サービスなど、全てが「デザイン」された時、御社のプロジェクトがはじめて売れるビジネスに変わります。

 

消費税増税、老後不安、地球温暖クライシス等、時代環境はますます複雑になり、悩み多く、悩みが重い時代へと進んでいます。矛盾を含んだ時代背景にあって、お客様が求めているのは「シンプル」を買うことです。「うわっ!これは素敵」「これは心地よい」とお客様の心を高揚させ、シェアしたくなる、そんな単純、清楚、素朴、かつ「洗練された」商品サービスをお客様は希求しています。その方向性に商品も経営も「デザインのちから」を発揮させることがポイントです。

 

シンプルとは何か。素朴とは何か、洗練とは何か?こうした定義を考えることです。そして、第三者の目線でパラダイムを変えましょう。今までの延長線上で考えていてはダメです。まずは経営者が「考え方」、「思考」を変えることが要請されています。