商品力の武器 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第144話

先日、前職である洋菓子メーカーの先達を囲んで会食する機会がありました。こうした会合や勉強会に声をかけてくれるのは商品部時代の元上司・T氏です。ヒット商品を量産してきた敏腕プロデューサーであり、わたくしに商品開発のすべてを、そしてビジネスの仕組みすべてを教え導いてくれた師でもあります。T氏の慧眼は、コンサルタントとして独立した今も刺激となり、気づきで満ちています。

 

10億、100億、300億、、、と、会社が大きく事業ステージを上げる時、逆に日本経済の停滞期が続いている時、有為転変の中で、生き残る企業と衰退する企業があります。その違いは何でしょうか。前職の会社は今創業70年超えですが、事業拡大を牽引してきたT氏は常に「商品力」と明言されてきました。

 

創業期から「おおきく・おいしく・しかも やさしい(財布に)」という他社を圧倒する商品力があったからこそ「ぜひ取り扱いたい」と前のめりで取引をお願いされた。強い商品力ゆえに「営業をする場合でも、自信をもってガンガン行けた」と懐かしそうに語ってくれました。

 

実際、いまでもこの傾向はつづき、直近の催事・ハロウィンや秋の商品も好調な売れ行きで、PR活動においてもますます取材が増えるばかり。こちらからお願いしなくても露出し、シェアされる仕組みが回っていると言います。

 

こうした事例をあげる時、例えば「経営資源が豊かな会社だからこそ商品力を高められるのではないか」といった質問が出ます。この考え方は間違っています。わたくしどもは大手企業の商品開発プロジェクトのお手伝いをさせていただくこともありますが、組織が大きくなればなるほど商品戦略は「出世競争」で決められてゆきます。わたくしたちの良心とは真逆で、組織は戦略に従わず、「商品戦略は組織に従う」のが世の常です。

 

ゆえに、本気で「商品力」を高めようと一度決意したならば、圧倒的に中小企業が速くて強いのです。経営者が指揮をとり、社が一丸となって取り組める中小企業にこそ大きなチャンスがあります。

 

もうご承知のように「増税」「台風」「米中摩擦」を背景に、今ふたたび日本経済の「減速」、街角景気の減速強く、と叫ばれています。大きなため息が聞こえてきそうです。ですが、だから何だというのでしょう。

 

御社の商品サービスを買ってくださるお客様は、この地球上に生きる人の数だけいます。景気減速だからといって、決して「ゼロ」になるわけではありません。根拠のない弱気はやめましょう。

 

この地球上にお客様がいます。その人たちはまだ御社の商品サービスを知らない、出会っていない人たちです。そのたくさんの人と御社をつなぐものは「商品」そのものです。お客様が御社の商品を買ってくださることで、儲けが出ます。経営の資源となります。

 

経営とは商品力です。商品力とはパワーであり、エネルギーです。昨日までの商品を改善し、改良し、刺激を与え、新規性を吹き込み進化させること、商品リニューアルという“磨きあげ”によって、エネルギーが高まります。商品リニューアルとは、商品を進化させることであり、経営そのものです。

 

本質はシンプルです。経営とは商品を進化させ続けることです。伸び続ける会社と衰退する会社との違いは、商品リニューアルの仕組みがあるかないか、それだけです。仕組みを回しているかいないか、それだけなのです。

 

商品と向き合わずして、経営はたちゆきません。「商品の磨きあげ」こそが、経営の真の道です。なぜ売れないか。また、なぜ売れているのか。お客様の不満は何か。また、喜びとは何か。厳しい時代がやってくる、だからこそ果敢に前へ前へと挑んでゆくのです。風が強ければ強いほど及び腰がもっとも危険です。

 

商品を磨きあげ、進化させましょう。商品リニューアルの仕組みが回っているからこそ、商品力が向上します。「商品力」に誇りを持っている会社はすべての営みが善循環となり強い企業体質になります。強い商品力を核に、営業、製造、商品開発、人材、経営管理、販促、店舗そして広報活動まで、これらすべての営みに自信が生まれ、積極姿勢で取り組んでゆけます。

 

自信をもって買っていただける! 、買っていただきたい!! そう思える商品こそが経営の武器です。お客様の幸福へとつながる本道です。いまこの時、景気減速こそが“行動すること”を告げる「合図」と考えましょう。商品リニューアルこそが経営そのものです。一歩前へ、商品リニューアルの仕組み構築に取り組むビッグチャンスです。