予測しない未来戦略 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第150話

2019年もいよいよ終わりに近づいてきました。今年は、商品リニューアルでV字回復する企業がたくさんありました。目立ったところでは、作業着の「ワークマン」、120mlの「ミニボトル」、コンビニスイーツの「バスク風チーズケーキ」や「スフレプリン」、吉野家やマクドナルドも復活し、新しいところでは住友不動産の戸建て住宅の「民泊リフォーム」が注目されています。

 

何より大金星をあげたのが「ラグビーW杯」です。W杯スタート時、世間では「日本代表といっても外国人選手が半数じゃない」というシニカルな声が囁かれていました。しかし、チームを“ワンチーム”と定義。このネーミング戦略によって新しい世界観が生まれ、じわじわと共感の輪がひろがりました。たくさんの人が“ワンチーム”に魅了され、多様性の成功事例として、取り上げられるようになりました。

 

さらに、潜んでいた「スポーツ観戦」需要が高まりました。リアルなスタジアム観戦だけでなく、飲食店でのスポーツ観戦、ホームパーティースタイルの「お家スタジアム観戦」需要を掘り起こしました。弊社がお手伝いしたスポーツ観戦商品もテーブルにあげていただき、反響が大きくヒットにつながりました。

 

時代が劇的に変化する今だからこそ、既存商品を磨き上げて商品力を強化する。淡々と実践し、スピーディに世に出してゆく。トライアル後、検証して、さらにリニューアルする。この仕組みこそが、産業革命に直面しているわたくしたちの武器です。そのためにも、時代のトレンド、空気感、潮目を高い視点から見る知的作業が必要不可欠です。データ分析以上に大事なことが、人肌で感じる感覚、実感、想像力です。

 

時代の流れから、2020年はキャッシュレス化が進むでしょうし、IoT=Internet of Things)によって、日々の暮らしがますます便利で快適になるでしょう。わたしたちの暮らしはAmazon抜きに語ることができません。

 

が、世界の潮流は先へ進んでいます。欧米においてAmazonは世界最大の監視産業という認識になりつつあります。地球の生態系の変化も非常に深刻にとらえています。例えば今年、ヨーロッパは暖冬で雪が降らない冬を迎えています。ウィンタースポーツのシーズンに「雪」が消え、北海道に雪を求める外国人観光客が殺到しています。

 

地球温暖化の影響は日本国内でも深刻です。日経新聞でも取り上げられましたが、海温上昇により海苔や昆布といった国産海藻の不作が深刻です。弊社にもメーカー様のご相談が相次ぎました。

 

これからの時代、地球環境の変化に合わせて生活者の心理が変化すると予見できます。今まで楽しんでいたウインタースポーツ、そして海藻をいただくこと自体が「地球環境に良くない」ものとして、お客様離れを起こすかもしれません。どのようなビジネスも、「脱プラ」と同じ道を辿る可能性があります。

 

わたしたちはデジタル革命という第4次産業革命の真只中でビジネスを展開している経営者であり、生活者のひとりです。顔を上げ、100年後の未来から今を俯瞰した時、わたくしどもの子孫らはタイムテーブル上の「2020」あたりを指差しながら、「ここで、社会のシステムが大きく変わり、世界が変わった、いくつかのビジネスが〇〇にとってかわった」と表現しているでしょう。そして、「地球の寿命」について語っていることでしょう。子孫たちが居るのは、地球とはちがう星、かもしれません。

 

時を戻しましょう。2019年が終わりに近づいています。一年をふり返って到達した地点は目標通りだったでしょうか? あるは大きく超えた、あるいは想定外のポイントに立っておられるでしょうか? また2020年をどんな年にしたいでしょうか? 

 

競合との勝負、海外市場への挑戦、イノベーションetc.・・・。道はひとつではありません。それ以前に、そもそも地球生態系の変化、デジタル環境の進化、そして生活者のライフスタイル革命で、自社商品サービスが要らなくなる、造ることができなくなる時がすぐ目の前に来ているかもしれません。

 

さまざまな未来予測が出される中、正直、地球環境を含め、コントロールできない大いなる力が複雑に絡み合っていることも皮膚感覚として感じておられるはずです。それでも、自社に未来がある、例えば100年後の未来から自社のヒストリーを語るとき、その時々で事態に対して何をどう考え」「何を実行したか」という、知的行動と実務行動という二つのアクションによって、自社の存在意義が語り継がれているはずです。

 

御社が存在する意味はなんでしょうか?  自社商品がこの世この時、ここに存在する意味を教えてください。自社商品サービスは何のために生まれ、なんのために在るのでしょうか。ビジョンという「帆」を揚げましょう。商品サービスという真の武器を磨きあげ、心が踊る大航海へ出航しましょう!