ピンチを飛躍に変えるダイアモンド商品発想法 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第160話

わたくしは1969年(昭和44年)に生まれました。わたくしが4つの頃、日本はオイルショックでトイレットペーパー買い占め騒動が起こったということを母から聞いて育ちました。小学校の時には、社会の授業で関東大震災の時にデマが流れ悲しい歴史があったことを学びました。そして今、インターネットの時代になっても「デマ」はなくなりません。スゴイ人たちの「未来予測」もまた雨後の筍です。

 

悲観論が蔓延し、わたくしたち生活者のマインドにバイアスがかかり、消費が落ち込んでゆくスパイラル。この50年、バブル崩壊、リーマンショック、大きな震災を経験し、その度に学生だった時には就職難になり、企業人だった時には業績悪化、フリーランス時にはビジネス停滞を経て、そして今に至ります。時代がものすごい勢いで進化しながらも、なぜかわたしたちの「マインド」のスパイラルはそうそう変わらないものだということを皮膚感覚で実感しています。

 

一方、街角からの風景はどうでしょうか。街一番のスーパー、私鉄がプロデュースする商業施設が閑散としています。しかし、地域の小さな商店に人が入っています。街の喫茶店にシニアの方が集っています。チェーン店よりも高めな、街の焼肉店にはファミリー層の姿があります。

 

ニュース番組では、家庭への取材が増えています。外出できない親子がどんな風に家で過ごしているかが映し出されます。食卓には「ドリル」「教材」「塗り絵」などが並んでいます。子供たちはご両親が愛用していたのでしょうか、日焼けした外箱から「人生ゲーム」や「オセロ」などのボードゲームを出しています。外遊びの様子では、お父さんや子供がいっしょにジョギングする姿、親子で犬の散歩をする様子が映し出されていました。

 

町の手芸店では、手作りマスクの材料が売れています。布地や耳にかける紐、ゴムなどです。店主に話をお聞きしますと、「若いお母さんだけじゃなく、タクシー会社さんとか総出で手作りされるそうです。対面ですから、その場でパパッと作り方のコツも教えてあげられるし、やっぱりお客さんが喜んでくれるのが嬉しいですよね」と。さらに、自社撮りの“マスクの作り方”動画を配信すれば親切ですし、そこからシェアが広がります。大掛かりなシステムも必要なく、すぐに実践できることです。

 

弊社が応援している家事代行会社では、創業時から地球環境に優しいエコ洗剤やエコアイテムを使って家事サービスを提供しています。この会社では、近隣企業でアルコール製剤が入手できず困っていると知り、ストックをお分けすることに。自社使用の家事アイテムが、介護や子育て、病院等の現場「除菌アイテム」として輝き、とても喜ばれています。このように、今まで自社のために使っていたアイテムも、新しい視点でながめれば輝く力を持っています。使い方をリニューアルすることで、新しい市場で輝きだします。わたくしどもでは、商品リニューアルによって輝く商品を「ダイアモンド商品」と命名しています。

 

どんなビジネスにも、かならず冬眠している商品サービスがあります。眠っている魅力があります。大事なのは、冬眠商品を発見することです。そして、今を生きるお客様にとって「魅力あるもの」にリニューアルすることです。魅力あるダイアモンド商品が生まれれば、それを求める人の流れが生まれます

 

今、何度目の「悲観神話」が蔓延しているでしょうか。お顔をあげて、窓を開けてみてください。どんな風をお感じになられますか? 今日の空は何色でしょうか? 寒い冬から春へと移ろっていることお感じになられますか? 今日は、ひなまつり、桃の節句です。

 

 春って曙よ! だんだん白くなってく山の上の空が少し明るくなって、紫っぽい雲が細くたなびいてんの!

これは今から一千年ばかり前に書かれた清少納言の『枕草子』の冒頭です。桃にちなみ、作家・橋本治氏の名訳が踊る「桃尻語訳 枕草子」から引用しております。遥か千年も前の人たちもまた、この空をみつめ、春は曙。そう心をふるわせていたことに、ほっとするのはわたくしだけでしょうか。

 

「悲観論」からは何も生まれません。情報のシャットダウンも時には必要です。自社を見つめ直す時間ができた時こそ、チャンスの時です。足元の冬眠商品、冬眠サービスに気づいてください。冬眠商品を再発見し、商品リニューアルしましょう。新商品開発の必要はありません。なぜなら、商品リニューアル、それ自体が「NEW」を生み出すからです。冬眠商品を磨きあげることは、新しい魅力を輝かせることに他なりません。

 

時代がどんなに変わっても、わたしたちの心はつねにゆらいでいます。変わりながらも変わらない声があります。叫びがあります。「春って曙よ!」、千年前の誰かが、令和のわたしたちに問いかけています。この問いかけこそが、この歓喜こそが、わたくしたち商売をするものにとっての希望です。さあ、窓をあけて春の喜びをシェアしましょう。今を生きる誰かの「歓喜」を、わたくしたちが覚悟をもって創ってゆく時です!