自社の免疫力を高め、強いブランドをつくる具体策 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第161話

昨夜9日、NHKの午後9時のニュースを観ていました。その中で、東京五輪に関わる聞き取り調査の結果が流れました。回答者はオリンピックの開催について「開催がむずかしい/できない」と感じている人が「開催できる」と感じている人よりも上回っていました。

 

その2時間後、同局の人気番組「逆転人生」放映中、「NY株 一時2000ドル超大暴落、サーキットブレーカー発動」のニュース速報がテロップで流れました。同じ頃ネットニュースでは、「新型コロナ対応“年を越えて続くかも”専門家会議、長期化の可能性示唆」と配信していました。生活者のひとりとして、この流れをたどった時、どのような感情が湧きおこるでしょうか? 東京五輪開催について、心の中でどんな言葉が湧きおこるでしょうか?

 

今世界中で、ウイルス感染をきっかけに「不安」が肥大化しています。同時に、ビジネスには新しい流れが生まれはじめています。濃厚接触を避けて、会議、会合、興行などはオンラインでの開催が浸透し、「#エア〇〇」というキーワードが出現しています。買い物はネットショッピングが当たり前になっています。こうした流れは、「お札やコイン」、「新聞や雑誌」といった「物質」に触れることを避ける方向性を示唆しています。キャッシュレス化やペーパーレス化が一気に浸透します。

 

一方、視る・聴く・触る・嗅ぐ・食べるといった五感を使うことに飢餓感が生まれています。アナログな体験が求められています。例えば、自分整理術としてアメリカ発のノート術「バレットジャーナル」がヒットしています。合わせてカラフルな筆記用具や万年筆などもブームが続いています。

 

昨日の日中、青山・表参道界隈は、2030代の女性客の姿が多くみられました。多目的スペースの「スパイラル」に入っているカフェは混み合っていて、待ち時間が1時間ほどで、テーブル席やテラス席は、女性客で活況です。青山フラワーマーケット南青山本店に隣接するカフェも、8割ほど席が埋まっている印象です。女性客の楽しそうなおしゃべり、笑い声があり、女性客のパワーを感じました。

 

冒頭よりお伝えしています通り、最悪の事態から想定し、わたくしたち経営者はリーダーシップを発揮していかなければなりません。国のリーダーシップをボヤくよりも先ず、自社のために時間を有効に遣う時です。懸案事項、先送り事項、意識的にフタをしていた事項があれば、トップ自らが “引き金”をひかなければならない事態もあるでしょう。

 

時局が平和ゆえに生じていた、親子の問題、社内の人間関係、財務状況など、ヒトとカネの問題においても揉めている場合ではありません。全社一丸で乗り越えなければならない時、企業生命に関わる緊急事態ゆえに決断してゆくことが求められています。

 

この瞬間瞬間、社会が猛スピードで変化しています。数十年後の未来、人類史の年表には「1980年代 インターネットが生まれ、2020年には新型コロナウィルスのパンデミックにより、一気にインフラ、ライフスタイルの構造が変化。それまでの産業が衰退、、、」と書かれているはずです。時代の転換点、この渦中に在ってなお、わたくしたちがビジネスをする意味はどこにあるのでしょうか? 商品やサービスを打ち出してゆく意味とは?

 

最悪の事態を考えれば、メシを食べてゆくためであるならば、究極的には国やどなたかのお世話になるという道があります。いやいや、そんなもんじゃないだろう、このバカが! そんな内なる声があるのかどうか。いかがでしょうかそれでも、自社が商売を続けていく意味がある! そう情熱がたぎるのであれば、この転換点こそがチャンスです。自社ビジネスがリボーンする再生再新の好機です。

 

例えば、

・女性客が熱狂する商品リニューアルは?

・オンラインで新たなコミュニケーションは?

・アプリで販路を拡大できないか? 

・「不安」を鎮める新しい使い方はないか?

・五感特化の商品にリニューアルは?

・超特別感のある商品に変換できないか?・・・

 

時代がどんなに変化しても、人はメシを食うためだけに生きているわけではありません。どんなに悲惨な時代であっても、人は恋に落ち、結ばれ、子を産み、発展してきました。不満や不安を解消しながら生きてゆきたいと思い、歓喜も時には必要です。戦中戦後の配給時代、企業の多くが自由に商売できない中、生活者の間ではさまざまな取引がありました。

 

わたくしたちが要請されているのは、時代の変化に合わせて、今のお客様が欲しくなる商品サービスをつくることです。既存商品や主力商品を磨き上げ、その時その時にお客様が欲しくなる、お客様を魅了する商品サービスを提供することです。

 

「壁は、自分自身だ。」昭和の鬼才、岡本太郎氏の言葉です。氏は18才で渡仏、太平洋戦争突入前夜に帰国しました。すぐに入隊させられ、中国の漢口(現在の武漢市の一部)の近くに連れて行かれて軍隊生活を送りました。30才を過ぎたパリ帰りの岡本氏が、189の若者と一緒に初年兵訓練です。言うに言えない苛烈なしごきを受けたそうで、「辛いなんてもんじゃなかった」と回想しています。

「ホフク前進」という、銃を地面につけないように捧げたまま、這って前に進む訓練があった。これはキツイ、フラフラ、目もくらむまでそれをやって、最後に「突撃に前えー」という号令でパッと立ち上がって突っ込む。また「伏せーっ」という号令。息もたえだえで地面に這いつくばったとき、ぼくの目の前に小さな花がゆれているのを見た。雑草の中に、ほとんど隠れるようにして、ほんとうに小さい、地味な、赤っぽい花だった。(「自分の中に毒を持て」青春出版社/1993年)

 

岡本氏は、いのちが絞り上げられるような感動にふるえた、果てなくも青いこの空の下に咲く赤い花の美しさに心打たれた、花のいのちと自身の命が共鳴した瞬間、と。わたしたちは誰しも、どんなに過酷な状況であっても、心の中で無意識に「赤い花」を求めています。商品サービスとは、この荒野、お客様にとっての「赤い花」なのではないか? わたくしは商品リニューアル専門のコンサルタントとして、強烈にそう信じています。いかがでしょうか?

 

厳しい時代に入ってゆきます。「底」から真っ青な空を見上げる日々が続くかもしれません。経済の貧困以上に、五感や心の飢えが問題になる時代がやってきます。ゆえに、心をふるわせる体験こそが新しい希望になります。自社の原点に立ち返りましょう。原点を思い出しましょう。そして「夢」を、壮大な夢を描きましょう。手に持っているロードマップ、もう、役に立たないことは十分に実感されたことでしょう。今だからこそ描く夢があるはずです。変わらないために変わり続けてゆく。覚悟が求められています。