会社を殺す出口戦略 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第169話

コロナ渦中の2ヶ月あまり、どんなモノやサービスを購入されましたか巣ごもりされているご家庭には、どんなモノが増えたでしょうか? 「マスク」「消毒液」「トイレットペーパー」「ティッシュペーパー」などが、まず増えたモノでしょう。

 

ひとつの参考例として、わたくし自身が3月以降に買ったものを、衣食住に分けて提示してみます。まず「食」の分野では、缶詰やレトルトなどの備蓄食材、冷凍食品、ホットケーキミックスなどの粉物、パン用酵母、ジャム、シロップ。乾物などの保存食。パスタなどの乾麺とパスタソース。常備アイテムとして、ヨーグルトなどの発酵食品とバナナ、ハーブティや緑茶、お菓子などが顕著です。

 

「住」に関するアイテムでは、使っていなかったアイテムが復活しました。古い食器、ミシン、裁縫道具、書道セット、万年筆。書棚の奥に眠っていた名作「はてしない物語」などの古典の本。漫画、レコード、映画のディスク。人生ゲームなどのボードゲーム、ガーデニングアイテム、カメラなどがリボーン。

 

住アイテムで、新調したものは、バリカン、節水シャワーヘッド、ホームベーカリー、オンライン会議Zoom用アイテム、手帳、個人用一筆箋、手芸アイテム、手作りマスクキット、アマゾンプライムビデオなどのサブスクリプション、あつまれ どうぶつの森(抽選待)、きのこ栽培キット(予定)など。

 

「衣」のファッションアイテムでは、ビジネス着は全てクリーニングに出して整理。買い足しは、おうち用のリラックスウエア、UV加工のアイテム、メガネ、サングラスなどを新調しました。「美容・健康」アイテムでは、漢方薬、サプリメント、体温計と電池、保湿クリーム、ヘアケアとフェイスケアアイテム、アロマオイル、お香、ブラシ、UVケアアイテム、ダンベル、バランスボール、体重計、オンラインフィットネス講座、鑑賞用アートなどを新調しています。

 

こうしてフィードバックしてみても、「巣ごもり」「おうち」がキーワードの商品やサービスです。買い物の9割がネットショップでの購入です。もちろん、Amazonや楽天、ヨドバシドットコムで注文することもありますが、メーカーのオンラインショップで「直」に買い物することが、楽しみの一つとなっています。

 

メーカーのオンラインショップにたどり着くまでには、SNSから始まる旅。SNSを見ているときに、知り合いや好きなコンテンツで、商品やサービスについての記事を見ます。興味をもって、すぐに検索。その後、アマゾンなどでチェックします。商品についての不明点があれば、お店にダイレクトに問い合わせをかけます。ネットショップ担当者とのちょっとした電話やメールでのやりとりに癒され、そのお店が好きになって、オンラインショップがあれば直で購入したいと考え始めます。

 

インターネット上では、「コロナ前、コロナ後のライフスタイルの変化」というテーマで、調査データが出始めています。そのような調査と照らし合わせてみても、わたくし個人の購買行動の「傾向」は、個人の傾向ではあれ、さほど大きなズレはないようです。

 

買い物の場が「外」から「おうち」へと変わりました。オンライン講座が流行っていますが、会費は銀行振込よりも、LINEPayだとすごくラク。「現金」についても紙幣や硬貨の“汚染”が気になるようになりました。お財布の小型化が直近のトレンドでしたが、コロナの影響で「お財布」という商品サービスの考え方も変化する兆しがあります。

 

20世紀最悪のパンデミックとされる「スペイン風邪(191820年)」から100年。今ではスペイン風邪は「A型インフルエンザウィルス」となり、ワクチンも治療薬も安定しています。一方、「新型コロナウィルス」を生きるわたしたち、まさかの変化で暮らしはどうなってゆくのだろう、ビジネス世界がどのように変化していくのか・・・。歴史的な転換点ゆえ、不安も恐怖も当たり前の感情です。

 

一方、わたしたちは怠け者ゆえ、こうした事態では強い指導者を求めます。「世界はこんな風になる!」と強く断言してほしい心理が働きます。が、世界の変化も、人間の心理も、小さな要素の複雑な掛け合わせです。様々な出来事が反応しあって変化してゆくので「こうなります」と断言することなどできるはずがありません。そもそもが、わたくしたち一人一人が内に秘めている可能性は無限であり、いかようにも変わる可能性を秘めています。

 

だからこそのチャンスです。今、お伝えできることは、直近の暮らしがどのように変化しているかを「視」、新しい商品やサービスに、新しい自社にリニューアルする方向へ舵をきるとき、この一点です。ゼロからではなく「核となる自社の存在意義はそのままに」というところがポイントです。

 

6月1日まで、自粛要請が延長しましたが、自社変革に没頭できる時間は、たった26日間です。自粛要請が解けた6月1日になれば、「もとのビジネスのやり方」に戻ろうとなるでしょう。その理由は、わたしたちの脳に起因しています。脳は「ラク」なこと、「変わらない」ことが大好きです。脳は、「変わらない」ための上手な言い訳を創り出します。“ホスト”が元に戻るのを積極的に応援するのです。

 

一方、生活者にとって巣ごもりしていた約3ヶ月は「新しい時代の体験合宿」です。閉ざされたおうち空間で、今まで知らなかった世界を体験しました。ビジネスにおいて「変わらない」「変わりたくない」経営者と、新しい船に乗った生活者の感覚、価値観のギャップが、商品サービスを殺し、会社を殺します。このような言葉をつかうのは、わたくしの美意識に反しますが、あえて書きました。

 

巣ごもりの時間、書斎からモレスキンのノートが出てきました。2008年リーマンショック直後の記録です。あるページを開くと、新聞の切り抜きとともに、言葉がメモされていました。

 道に迷えば地図が作れる。

21世紀のパティスリー界を先導するピエール・エルメ氏の言葉です。エルメ氏は、今もなお活躍しています。そして、この苦境に新しいチャレンジを温めていることでしょう。不安と迷いそして恐怖。それは新しい地図を作っているゆえ、挑戦ゆえの価値です。恐れずに進んでゆきましょう。思考と行動を変えるチャンスはあと26日間です。ゆったりとスピーディに準備しましょう。