たて糸の戦略 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第171話

経営とはリニューアルそのものです。自社の商品サービスを、事業を、自社そのものを創りかえてゆくことです。自動車メーカーのトヨタは、そもそも豊田自動機織から分かれてできた会社です。株式会社豊田自動機織の公式サイトにはヒストリーが詳されています。

 

株式会社豊田自動機織は1867年(慶応3年)創業。1890年(明治23年)に創業者・豊田佐吉が豊田式木製人力織機を発明しています。今から130年前のことです。

 

大工の家に生まれた豊田佐吉氏は、家業を手伝いながら、「自らの知恵により新しいものを創造する発明に一生を捧げようと決意」。そして「あるとき、村の農家で使われている手機(てばた)に興味を持った。“能率の悪い手機を改良することができれば、きっと人々の役に立てる”」。そう考え、機械で糸を紡いで布を作る仕事を始めました。

 

機織機の発明を転機に「機械技術」という自分たちの強みを発展させ別の分野で活かし、自動車産業を切り拓いてゆきます。トヨタもまた、常に積極的にクリエイティブに、自社を創りかえてきたリニューアル企業のひとつです。

 

わたくしどものオンライン会議で、いま多くの経営者が「自社の強みがわからない」と相談にいらっしゃいます。過去には、強みをあぶり出すための「SWOT分析」といったフレームワーク研修をなされてきた会社がほとんどです。ですが、この歴史的な時代の転換点にあって、それらは応用できないと話されます。

 

劇的にマーケットが変わり、お客様が変わり、そのあとを追うようにしてライフスタイルが変わりはじめています。考える習慣のない経営者は、お客様の変化に気づくことができません。気づかないので、そのまま取り残されます。ご自身が不安と恐怖で一杯になっている経営者も、脳が思考停止になって、極端に視野が狭くなります。

 

必ず自社には強みがあります。「強み」の再発見と再構築には、SWOT分析のような思考整理は役立ちません。生々しいビジネスの世界では、むしろ真逆のエネルギーを使います。泥臭く、直観的でダイナミックです。今までやってきた実務プラス、視るもの、触るもの、聴くこと、匂い、味わい、心にひっかかること、心に響くこと、といった事柄に注目します。この過程は、創造的プロセスで、机上で学習してやることではありません。

 

こうした考え方を基盤に、自社の強みを再構築した上で仕組み化し、具体的行動に移してゆきます。行動の工程表があっても、未来はこうなる的なロードマップは必要ありません。やってみて失敗し、軌道修正する。そしてまたやってみる。淡々としたくり返しです。

 

御社には、これまで生きのびてきた意味があります。生き残ってきた意味があります。たった一人だとしても求めてくだったお客様がいたこと。そこに意味がある。何かがある。わたくしどもはその光を見つけ、光をたぐり寄せるお手伝いをしています。自社の本質的な強みを再発見し始めている中小企業が一社、二社と増えていることが、価値であり、日本の希望だと確信しています。

 

今まで培ってきた実務、スキル、必要とされてきた技術こそが強みです。そして、ご自身の心の中に芽生えた意欲、アイデア、挑戦したい気持ち・・・これらは別の言葉に言い換えれば、「夢」や「ビジョン」です。

 

夢を叶えること、ビジョンを実現すること、ビジネスを動かすこと、すべて「行動」から始まります。経営者が行動するために、わたくしたちコンサルタントはお仕えしています。その先にある光の場所へお連れするのがわたくしたちの使命です。自信を持って新たな一歩を踏み出しましょう。自社の強みを経(たて)糸とする。経営とは、たて糸の営みです。