3密時代に人を動かす「リネーミング」戦略 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第175話

緊急事態宣言が解除され、東京の街は少しずつ人が戻り始めています。そうはいってもコロナウイルスが収束したり、ワクチンや治療薬が出たわけではないので、生活者のライフスタイルが100%元にもどることはありません。

 

あえて口に出したりはしないでしょうが、意識の中には3つの密「密閉、密集、密接」を据えて、3密を避けるライフスタイルを取るのが人の感情というものです。「経済を回す」といった文言は、だれもが納得できる大義名分です。しかし、街は100%の状態で元に戻ってはいません。まだまだ閑散としています。偉い人が頭で考えた大義名分だけでは「人は動かない」のです。コロナ禍に、「納得」することと「共感」することの違いに気づかされます。

 

昨夜、日本トップリーグ連携機構が「無観客試合」という呼び方をリニューアルしたと発表しました。「無観客試合」に替わる新しい名称は「リモートマッチ」です。短縮して「リモマ」と呼んで、と呼びかけています。夜のニュース番組で、リモート出演していた川淵三郎会長の笑顔が印象的でした。

 

川淵三郎会長曰く「新型コロナウィルスはマイナスだが、リモートマッチという響きにはポジティブな感じがある。家で参加したくなる印象がある」と伝えていました。日経新聞の報道によれば、リモートで応援するファンを「リモーター」とネーミングしたとのことです。

 

このリモートマッチ、リモマ、リモーターというリネーム(rename=改称)が、共感を呼ぶかどうかは置いておきましょう。はっきりしていることは「無観客試合」というネーミングをそのまま使わずに改称するというその実践こそ、わたくしたち中小企業経営者が取り入れたい姿勢です。

 

なぜなら「無観客試合」は、お客様に嫌われる要素が入っているネーミングだからです。なぜ、無観客試合ではだめなのでしょうか。

 

無観客試合というネーミングでは、人の心を動かさないからです。たくさんの人が集い応援することで喜んでもらう商品サービスに対して、「無観客」というネガティブイメージの言葉が入っているからです。無観客で気分が上がるでしょうか? 無観客で得した気分になりますでしょうか? ネガティブな要素は、人に嫌われます。そして共感してもらえません。わたしたちは「共感」しなければ、行動することはありません。

 

わたくしどもの「商品リニューアル技法」のなかでも、ネーミング戦略は効果絶大で非常に重要な戦略のひとつです。既存の名前を捨てて新しい名前をつけることで、唯一無二の新ジャンルが生まれます。

 

「無観客試合」を「リモートマッチ」にネーミングリニューアル(=リネーミング)したことによって、スポーツイベントに「リモートマッチ」という新ジャンルが誕生したのです。さらに、リモートマッチを掲げるにあたって、スポーツに関わるエクゼクティブ層の哲学や理念、考え方を意思表示できれば、より一層、共感する人たちが増え、お客様やファンとのつながりが強く太くなるはずです。

 

 時代が変化しているとき、商品の名はそのままで良いのでしょうか? ライフスタイルの変化で生活者の気持ちが変わる時、既存商品の名で人の気持ちを動かすことができるでしょうか?何のために商品やサービスに名前がついているのでしょうか?

 

「新しい名前をつける」ことは、野球でいえば、ピッチャーの第1球目に他なりません。新しいビジネスのはじまりであり、お客様にはじまりを合図し、高らかに新しいビジネスをコミットするチャンスです。

 

自社の商品やサービスには、なぜ名がついているのでしょうか? 他社商品と区別するため、とりあえず・・・、慣習、考えたこともない、当たり前だから・・・。既存商品サービスが、お客様のライフスタイルにフィットしなくなっている今がチャンスです。

 

リネーミングによって、新しい世界が誕生します。唯一無二の新ジャンルを宣言することができます。いま、新しいゲームが始まろうとしています。わたくしたちが主導権をもち、先行してはじめるゲームが!