“自分”という商品をリニューアルし大きく飛躍する法 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第182話

先日ご相談があったサロンでのこと。オーナーの話では、この4月5月がどん底で、ようやくお客様が少しずつ戻ってきている状況。そうは言っても「元には戻らない」という焦り、「いつになったら元に戻るのか」という苛立ち、それに加えてウイルス対策へ神経を尖らせていることがストレスとなり、相当に気持ちが沈んでいる。不安いっぱいで、前向きに考えることができない、と呟かれました。

 

一方、市場の危機的状況を受け止めながら挑戦することをあきらめない社長もいます。「紋章上繪師(もんしょううわえし)」という仕事があります。着物などに手書きで家紋を入れる職人のことで、いま親子二代で営む紋章上繪師の会社、株式会社京源という会社が注目されています。

 

本来家紋とは、竹製のコンパス、直線を引くための筆などを使い、円と直線でひたすら手描きするものです。京源ではこの家紋を描く工程をデジタル化。「家紋をデザインする」という新たな世界観をつくりあげています。従来ビジネスの着物に家紋を描くビジネスのほか、「家紋アート」としていまや東京を代表するブランドとして認知され、世界中からオファーが来るようになっています。

 

着物文化が衰退していく中で、自社の核となる高度な手業「家紋」の技術を、デジタルテクノロジーと組み合わせて、デザインやアートといった新しいジャンルを自ら創出。試行錯誤をくり返しながら、チャレンジする姿勢に学びがあります。さらに、紋章上繪師という今では希少となった生業を、親子自らPRする両輪で自社ビジネスを強くしています。

 

コロナ禍の半年間、疲弊しているのは経営者だけではありません。芸能界というエンターテイメントの世界において、7月中旬に若手俳優が自死。コロナ禍であっても、仕事に恵まれていた光と翳に世の中がザワつきました。一説によれば俳優自身が自分を肯定できなかったといった話も出ています。が、顧客視点で見れば、存在そのものが「商品」であって、ファンとは俳優の心のうちとはまったく関係ないところで、熱狂したり応援しているということを痛切に感じました。

 

翻って、前出のサロンオーナーも、お客様から見れば「商品」の一部です。提供される施術、笑顔やトーク、立ち居振る舞いといったものすべてを総合して、お客様は無意識に評価しています。そもそも商売の世界、社長が発する言葉、表情、スマイルはもとより、DM、ブログ、SNSの発信といったことまで、すべてがお客様にとっては「商品サービス」のひとつと捉える思考が必要不可欠です。

 

オーナーには「発想そのものをリニューアルし、ご自身が商品だと強く意識してください。何か新しい取り組みができるのではないでしょうか」とお伝えしました。オーナーは、パッと顔をあげて自粛中にご自身が体得した施術や、心理学の学び、オンラインでの施術体験など、ご自身がやってみたことを思い出し、発想をひろげることができました。

 

「自分が商品」。そうお伝えするとき、社長はとたんにわけがわからなくなります。「自分が商品?  何の強みもないよ・・・」とおっしゃる経営者もいらっしゃいます。たった1人であっても、お客様がついている以上必ず魅力があるとお伝えしても「いやいやいや」となってしまう。

 

自分の手の内は自分がよく知っている。ゆえに、心の声が絶えず自分を否定するのです。その心の声こそが「自我(自分という意識)」です。この自我をいったん突き放す姿勢が求められています。実のところ「自分なくし」はことのほか難しく、ゆえに第三者視点のプロデューサーとしてコンサルタントについてもらい、時間を大きく節約する社長が多いのです。

 

モノだけが商品ではありません。社長自身が商品です。セルフプロデュースという商品リニューアルで、新しいお客様を掘り当てる戦略をお持ちでしょうか? 技術や職人芸だけでなく、新たな価値をリニューアルし、ビジネスに変換することができていますでしょうか? お客様から視たご自身こそが宝の山。自分を商品としてリニューアルできたとき、自社ビジネスが“大化け”します。