2025年、自社商品サービスが選ばれ続けている理由 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第187話

先日、目下商品リニューアルに取り組まれている社長との面談でのことです。「実はずっと感じていたことですがコロナになってますます確信しました。先生ね、これからはモノじゃなくて、サービスを売る時代じゃないでしょうか・・・」と社長。

 

作る・売る・捨てる、というビジネスではなく、地球環境に負荷のない商品サービスを提供したい。が、「エコ商品サービスは売れない」と周囲に反対され、頭を抱えておられました。わたくしは、「確かに12年前ほどのエコブームは商売になっていない企業が多かったです。しかしコロナ禍の今、そうとは限りませんよ」とお伝えしました。社長の目が光りました。

 

そうお伝えした理由は、すでに予兆があるからです。「サーキュラーエコノミー=Circular Economy」という言葉をご存知でしょうか。近いうちに、この言葉を当たり前のように使いはじめる時がくる兆しがあります。

 

サーキュラーエコノミーとは「循環型経済」を意味します。従来の作って捨てると直線型経済システムのなかで活用されることなく「廃棄」されていた製品や原材料などを新たな「資源」ととらえて、廃棄物を出すことなく資源を使い続ける循環型経済の仕組みです。

 

サーキュラーエコノミーを先んじて取り組んでいるのが、ファッションとスポーツ業界です。最近話題になったのが、ナイキ(NIKE)です。工場やユーザーの廃棄物から作った実験的プロダクト“スペース ヒッピー”を716日に発売、あっという間に完売しました。

 

ナイキの開発担当者は、WWDのインタビューに「私たちはプロダクトを作るときに、それがまた使われ、愛用されたり、作り直されたり、あるいは全く新しいものに生まれ変わることを考えている」とし、「古いTシャツなど、ゴミとして捨てられるはずのものを機能性に優れた糸に変身させたり、(中略)、このような廃棄物は豊富にあり、誰もが使えるものでもある」と話しています。

 

こうした著名海外ブランドはむしろ後発、そもそも日本国内でいえば、約215年前の江戸時代は循環型社会。鎖国していたので海外から資源や製品を買うこともなく、国内資源を循環させていました。町にはゴミひとつ落ちていなかったと言われています。また、鍋や釜などを修理する鋳掛屋、陶磁器を修理する焼継ぎ屋など、修理や修繕を生業にする職人がたくさんいました。

 

いくつもの時代を経て、2000年頃から「新しいものをつくるのではなく、いまあるものに光を当てよう」と宣言したデザイン活動家のナガオカケンメイ氏や、直線的な経済システムに心をいため、何十年も着続けることのできる美しい服をつくる皆川明氏が注目され始めました。そして今、ナガオカ氏は「ロングライフデザイン」を提唱し、皆川氏は「つづく」をコンセプトにした展覧会を大成功させています。

 

とはいえ、わたしたち生活者は保守的です。そして、購買活動には本音と建前があります。節約が叫ばれるコロナ禍の今、少し高めのエコな生活品と、地球には負荷がかかるが安価な生活品とが並べられていたら、後者をそっと買い物カゴに入れるでしょう。

 

その一方で、巣ごもりで在宅時間が増えました。「手作り」「DIY」「修繕」「リメイク」ブームの到来です。古いものをリニューアルして楽しむライフスタイルが人気になっています。さらに、ジャポニカ学習帳や任天堂のファミコンなど昭和レトロブームが再燃しています。

 

今までのような「速く」「やすく」「たくさん」の消費スタイルから、ほんとうに価値があると感じるものを「ゆっくり」「ていねい」「何度でも」という価値観で吟味、そして購入する方向に進む傾向がみられます。

 

疫病の流行、驚異的な自然災害、食糧危機など、地球の悲鳴が大きくなっている今、生活者が求め始めている商品やサービスとは何でしょうか。生活者が求めているのは、「質がいい」「デザインがいい」、そして「地球環境にいい」「価格がいい」と感じるものにです。消耗品が必要時は、より安価なものをネット注文するでしょう。しかし消耗品にも「地球環境配慮」が求められます。なぜなら少しでも「後ろめたさ」をチャラにしたいからです。

 

いま、商品サービスのリニューアルは待ったなしの状況です。大手企業の取り組みがカタチとして見えつつある今、生活者の意識も刺激され「今までの常識」「今までの当たり前」を直視しはじめます。「ちがうかもしれない・・・」と意識が少しずつ変わり始め、周りの様子に同調し、消費行動を変え始めると想像できます。

 

冒頭のように、「エコは売れない、エコは儲からない」と思い込んでおられる経営者は多いものです。それはひと昔前の経験があるからです。その思い込みを一度捨てることです。そして、商売ゆえに、売り先をセットで考えることは何をおいても重要です。

 

あらためて自社商品サービスについてどう考え、お客様にどんな喜びを提供したいと考えているのか。時代がどんなに変わっても、商品戦略立案の基本的な考え方は何ひとつ変わりません。第三者を上手に活用し、大戦略をしっかりと構築していきましょう!

 

参考: https://www.wwdjapan.com/articles/1110146  WWD8月18日配信