圧倒的商品に生まれ変わるリニューアル戦略の実務 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第189話

「コザキ先生、コレすごいんです!!」と、目下商品リニューアルに取り組んでいる社長からサプライズのプレゼントをいただきました。コロナ禍をきっかけに、自社のために「変わろう」と強く決意された社長です。頂戴した紙袋の中には化粧品が入っていて、手触りの良いキナリ色の清楚なパッケージに包まれています。一見したところ素朴なオーガニック系化粧品の印象。が、衝撃的でした。

 

この商品、驚きは「香り」にあります。バラの香りが特長の化粧品ですが、その香りは天然そのもの。朝に立つ霧のなかで凛と咲くバラの香り。石鹸を包む透明ラッピングフィルムを開封していないのに、香りがダイレクトに広がります。バラの花束をいただいた時、その心地よい香りに包まれたような印象です。

 

オーガニックアイテムに精通した社長も「ここの商品は本物です! 」と太鼓判。いただいたのは「ROSE LABO(ローズラボ)」という会社の化粧品です。埼玉県で農薬を使わない「食べられるバラ」を自社栽培し、化粧品を製造販売しています。

 

ストレスの多い時代「香りに癒されたい」という需要が高まっています。バラの場合、天然の香りを抽出するためには手間がかかりコスト高。農薬をたくさん使うので、生産者の健康被害も指摘されています。ゆえに、化学物質で作った人工的な香りをつけた商品が量産されています。

 

しかし商売のおもしろいところですが、こうした常識的動きとは真逆の行動をとる人が出てきます。何よりもバラが大好きで、“本物”の商品をつくりたいと夢を持つ人が現れます。たった一人で行動し、“農薬を使わない食べられるバラ”を育てている農家を探し当て、教えを請い誕生した会社がローズラボです。

 

化粧品のパッケージには「国産の食べられるROSEを含む天然由来成分95%の〇〇」と書かれています。価格は、例えば石鹸なら、形が似ているイオンさんのマルシェボンシリーズ(ペリカン石鹸製)の3倍以上します。冒頭の社長も「この商品は、自分でふだん使いするというよりも、だれかに贈りたくなる商品なんですよ」と見立てています。

 

商品を楽しむ五感には、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚があります。情報の8割は視覚から得られる、といった古典的な話をする方もいらっしゃいますが、知覚の研究も日進月歩です。こうした感覚の種類は未発見のものを含め、他にもたくさんあります。わたしたちはこれらを様々に組み合わせて、総合的に判断します。

 

五感の中でも、匂いを感じる嗅覚は、人間の記憶と特別に強いつながりを持っています。いただいた化粧品は、視覚から入るパッケージデザインは極めてシンプル。洗顔料の容器も資生堂などのトップメーカーのものと比較すれば、簡素です。しかし、そんなことはどうでもいいくらい、本物のバラの香りは強烈な体験です。ローズラボさんのバラの香りで、強烈に幼い頃の幸福な記憶がありありとよみがえりました。わたくしが幼い頃、母が手塩をかけてバラを育てていたことを思い出し、不思議な気持ちになりました。

 

本物の香りにこだわったローズラボが提供しているのは、「化粧品」というモノではありません。本物のバラの香りを通して「記憶」や「思い出」を提供しているのです。だれもが心の深いところにしまっている「記憶」、忘れてかけていた「思い出」を心の中で再体験するのです。この商品を使うことで時間を巻き戻す体験をする。驚きと五感にしみ渡るような満足を得、「確かにこういう商品が欲しかったよね」「どこかで本物のバラの香りを求めていたよね」となる。そして、この商品の圧倒的なファンになるのです。

 

プライシングも連動します。世の中は「節約志向」、ひとつ2,000円近くの石鹸を買うわけがない・・・。本当でしょうか? バラの香りで誰かの記憶や思い出が甦るのであれば、外出できなくて困っているシニアや、認知症の方に贈るとすれば、その価格はどうでしょうか。周囲のご家族の方にとって、たったひとつの石鹸がとてつもない喜びに変わるかもしれません。ひとつ10万円だって安い、プライスレスな価値かもしれません。

 

では、人を圧倒する強烈な商品はどこから生まれるのでしょうか? 覚悟を持ってお伝えします。たったひとつのこと。それは「熱意」。圧倒的な商品は、社長の熱意から生まれます。その上で、ローズラボさんの商品を体験したとき、この商品との出会いを自社商品サービスに活かすべきことは、何でしょうか? それは、例えば「何か植物を育てて製造販売する」を考えることや「高付加価値商品をつくる」でしょうか?

 

この商品を使ってみたい、買ってみたい、実際に買った、贈った社長の、無意識レベルの着眼こそがキモなのです。それを選んだ社長の直観力、無意識、自社の得手不得手、はみだすほどの思い、情熱・・・。社長の直観力。そこに商品リニューアルの核のヒントがあります。

 

この時世に生き残っているキセキ、だれかやどこかでやっている商品やサービスをつくることに時間を使うのは、あまりにもったいないことです。自社の存在意義、それはそんなものではないでしょう。力を秘めているんです。それは社長がいちばんよく知っているのではないでしょうか。

 

大きく夢を描くクリエイティブと、プンプンとしたお金の匂いを嗅ぎわけるサイエンスと、両方の力を引き出し、掛け合わせながら、圧倒的な商品群をつくりだしていきましょう。それができるのは社長である、あなただけです。

 

そして一方では、自分のことは実はいちばん自分がわからないのも真実です。そんな時こそのコンサルタントです。あとは「やるか・やらないか」それだけです。

わたくしは、社長の秘めたる夢を応援します。

一歩踏み出す社長を全力で支えます!

さぁ、進んでゆきましょう。