「弱さを見せない」を思い切ってやめてみませんか? 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第190話

「わたし一人ではなにもできないですから・・・」。そう清々しい笑顔で話されるN社長。先日、全社員を集め、いま取り組んでいる既存技術を生かした新事業の方針発表を果たしたばかりです。もともと超高齢化と少子化によって業界全体が右肩下がり。さらに新型コロナで打撃、現状を直視し自社の未来のために商品リニューアルの仕組み化で「飛躍」を誓いました。

 

会では、現状を数字で伝え、方針を説き、率直に熱い想いを伝え、「みなで乗り越えていきましょう」と力強い言葉で締めくくりました。会場は静まり返っていました。が、わるくない緊張感と清々しい“気”で満ちていました。

 

「・・・わたし一人では、なにもできないですから」。先日、たまたま観ていた音楽番組で、同じ言葉を耳にしました。言葉を発しているのは、歌手でシンガーソングライターの松田聖子氏です。今年デビュー40周年を迎え、メディアの露出が増えています。1980年にデビューしてから数々の偉業を成し遂げ、今もなお第一線で輝いています。

 

常識的にとらえれば、松田聖子氏は大スターです。ゆえに、彼女が提供している商品とは「松田聖子」自身である。誰もがそう思うのではないでしょうか。ところが、この音楽番組で本人が語ったこと、そのふるまいはとても興味深いものでした。

 

例えば、歌っているときの境地とは「演じているのではなく、(作詞家)先生の描いた“景色”に立っていて、そこで見ている世界を歌っている」と発言していました。「主人公は自分じゃない」と強調していました。自分はむしろ不在で、作詞家の描いた景色と、聴き手をつなぐ「触媒」だと言っているのです。

 

それゆえ、「わたし一人では、なにもできない」と言って、作詞家、作曲家、編曲者など創作者であるプロたちの名をあげ、ひとえに感謝の言葉を伝えていました。謙虚さを伝えているのではなくて、事実、そういう思いで40年やってきたのだな、と伝わるさっぱりとした印象です。

 

一方、経営の世界に、稲盛和夫氏の「アメーバ経営」があります。アメーバ経営とは稲盛氏が独自開発した「経営管理システム」です。小集団独立採算による全員参加型経営が特長で、一般的には経営ノウハウとして語られています。しかし、氏は自身の著書の中できっぱりとノウハウではないとし、「アメーバ経営はやり方だけを真似してみても、うまく機能しない」と言及しています。

 

曰く、アメーバ経営は「経営哲学をベースにしている」のがキモであり、「人間として、やっていいこと、悪いこと」というベーシックな判断基準を構築した上でシステム化しなければ機能しないと伝えています。

 

アメーバー経営の起源は、稲盛氏自身が経営者となって、「自分一人では無理」だと悟ったことがきっかけとなり、「共同経営者として仲間がほしい」という渇望から生み出されたシステムであると、正直に綴っています。

 

わたくしどもも四半世紀、さまざまな経営者と出会うチャンスに恵まれてきました。有為転変する環境の中で、業績は伸びたり、伸び悩んだり、また復活したりと様々なプロセスがあります。「わたし一人では何もできない」と本気でこの言葉を伝える社長がいます。謙遜でも、社交でもなく、本気でそう言う時の社長は、雨上がりの突き抜ける青空のような爽やかな顔をしています。そして共通しているのは、この言葉が出る時、必ずいいチームが育ち始めていて、商品戦略の仕組みが回りはじめているのです

 

経営者たるもの「わたし一人では何もできない」。そう言うことには少しの勇気が必要です。実はこの開き直りの感覚こそが「変わる」ことへの起点です。停滞、先送り、不平や不満、不安感、イライラ、アイデアが出ない、思考停止、行動停止、そして迷走・・・、経営者らしからぬネガティブな心持ち。変われない、変わりたくない。そういうご自身の声を、まずは素直に認めましょう。だれかの前で、自身の弱さをさらけだすことは「恥」ではなく、真の勇気。飛躍への吉兆ととらえてください。

 

コロナ禍、自社商品サービスを求めている新しいお客様がいます。その方達は、言葉にできない「飢え」や「のぞみ」を抱えたまま、自分の「巣」にこもっています。かならず御社の商品サービスの存在意義が高まる時。今ある商品サービスを基盤に、新しい商品サービスを打ち出すベストタイミングです。

 

「ひとりでは何もできない。だから手伝って! 」そうコミットできる勇気ある社長と一緒になって、商品リニューアルの仕組みづくりをすること。それによって、新しい時代の商品サービス世界をつくりあげること。それがわたくしどもの喜びです。

 

経営者は孤独、本当でしょうか?コミットすれば必ず「社長、一緒に頑張りましょう! 」「社長の夢を応援します!」と目を輝かせ、力強く声をあげてくれる人が必ずいます。まさに、わたくしたちコンサルタントの使命であり、コンサルタントの存在意義なのです。さらけだしてOK! 孤独を打ち破り、いっしょに進んでまいりましょう。