ノドから手がでるほど欲しくなる商品に生まれ変わる方法 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第195話

マーケットは限りなく広く深く、商品やサービスは実にフェアな状態で市場に出ています。例えば、その商品をつくった人が「男性」または「女性」、つくった会社の経営者が「男性」または「女性」であろうとなかろうと、生活者にとっては関係ありません。もっと直感的に買い物をしています。商品を見て、「いいね」「楽しいそう」「おもしろいな!」「おいしそう!」と思ったら購入をクリックします。「キライ」「嫌だな」と思ったら、買いません。サービスであれば、たとえ無料だとしても依頼することはありません。

 

11月2日の日経MJの注目記事は「男が作り男に売る/新興コスメ 男心をつかむ」です。今、男性用化粧品(メンズコスメ)で新しいブランドが続々と登場しています。作り手は、自らの肌の悩みを自ら解決しようと立ち上がった男性たちです。これらの商品は、ネットを中心に若者の支持を広げています。

 

コロナ禍、在宅勤務によって、モニターに映る自分の顔を見て見栄えを意識して化粧水や乳液を利用する男性が増えました。しかし、男性用コスメは化粧品全体に占める割合はわずか4%です。女性用に比べて選択肢が圧倒的に少ない現状です。そこで、登場したのがメンズコスメです。

 

わたくしの周辺では、この「メンズコスメ」が流行する前から、営業関係の男性たちが肌ケアや爪ケアにお金をかけるのが一般的でした。また10代男子たちは、思春期になるとニキビケア用の石鹸をふわふわにあわ立てて洗顔したり、自分たちで情報を集め、良さそうな皮膚科を受診し、皮膚科処方のコスメを使ったりすることを見聞きしています。

 

10代男子は日焼け対策にも関心があり、ドラッグストアで売っている美白化粧水を使ってケアすることもあります。おもしろいことに、皮膚科ひとつとっても子供たちの間では口コミが発生していて「どこどこの皮膚科が良い」「〇〇を使うと良い」などと、互いに情報を交換し合っています。

 

彼らはメンズコスメであろうと、女性ターゲットの化粧品であろうと、とらわれることなく「良いものはないか」「自分の不満を解決してくれるものはないか」と本能的に探しています。ネットで検索して、その口コミと悪いレビューを一生懸命にチェックし、自分の視点で購入し、気に入ればリピートして口コミします

 

メンズコスメの流行を見たときに、自社商品サービスにどう活かしていくか。そのとき必要不可欠な視点とは何でしょうか? 「男が男に作る」「男性用」「女性用」という点にとらわれてはなりません。これらは、マーケターや商品開発担当などの“身内”が盛り上がっている記事ととらえましょう。

 

経営者が見るべきは、「メンズコスメ」の奥に潜む人の心理です。そもそも、「男性もまた、女性たちと同じように肌の悩みをもっている」という点に着眼することです。「メンズコスメがあったから」買ってみた人がいるのです。

 

男らしさ、女らしさ、という時代から、今は「自分らしさ」の時代に変化しています。今商品リニューアルを考えるとき、ターゲット層は広く考えることが第一歩です。次のステップとしては、そこから、意図して商品やサービスの「キャラクターを起てる」と、グッと自社商品サービスが魅力的になります。

 

このメンズコスメですが、おそらくもう少しすると女性たちが愛用するようになって、ネット上で「メンズコスメ使ってみたら案外〇〇」といった口コミが広がっていくかもしれません。実際に、検索してみると「女子も使える!」といった切り口の記事が出てきています。

 

作り手であるわたしたちの考え方、視点、そして世界観が商品に反映します。例えばニキビひとつとっても男性と女性の違いがあるのかどうか。皮膚科では性別での処方はしていません。

 

性別や年齢とはなんでしょうか? もっと高いところから人を見つめて考えることができないでしょうか? 今、生活者にとって性別や年齢は、「記号」「数字」であって、そこには何の意味がない、ということを感じ始めています。

 

その時代の空気感の逆張りで、記号や数字に意味を持たせたファンタジーな商品やサービスを作ってしまうこともアイデアです。例えば、コスメであれば「21歳の揚げ物好きな女子だけが使える〇〇」といったコンセプトです。一方、「ヒト」という世界観で、普遍的な商品サービスをつくることもアリかもしれません。

 

商品リニューアルで、いかようにも新しい商品サービスが生まれます。今ある商品やサービスにこそ、すごい宝物が眠っています。自社の商品サービスを深く掘り下げることが、新しい世界につながります。

 

コロナ禍、厳しい時が続いていると言われています。が、アイデアと工夫が需要を作り出します。そのためには、常識的な考え方、前の時代の考え方を一旦消去することが必要不可欠です。そもそも、男性用、女性用、男だから、女だから、男視点、女視点とは、いったい誰が決めたの?

 

もう一度お伝えします。アイデアと工夫が需要を作り出します。自社の今ある商品サービスは、アイデアと工夫次第で、新しいステージに飛躍する商品に生まれ変わります。そのためには、一歩一歩工程を踏むことが求められています。

 

ゴールから逆算した全体設計があってはじめて、工程のステップが生まれます。自社の埋もれた価値を「無」にしていませんか? 全体設計の考え方が準備できてますか? 商品リニューアルの哲学である「今ある商品の価値をアイデアと工夫で磨きあげる」ことに取り組んで、新しい時代の市場、そしてを文化をつくっていきましょう。