商品リニューアル戦略で勝利に導く3つのキーワード 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第46話

わたしたちの暮らしまわりで、今年2017年の最も大きな変化変容のといえばスマートフォン端末における「ネット通販の浸透」ではないでしょうか。

 

ふりかえれば、6月28日(水)日本経済新聞朝刊1・16面、日経MJ1〜5・7・9面に掲載された「第50回小売業調査」の記事です。

 

「アマゾンジャパンの2016年度の売上高が初めて1兆円を突破。ヨドバシカメラのECサイトヨドバシ・ドット・コムも1000億超え。一方、セブン&アイ・ホールディングスなど大手小売業は半数が減収。国内の小売市場が2年連続で縮小。スマートフォン(スマホ)で注文すれば自宅に商品が届くという究極の利便性が「近くて便利」を武器に成長したコンビニととも消費をけん引。」とあります。

 

さて、自身の半径5メートルの購買行動をふりかえれば、

 

好きな時にいつでも

自宅というお城で、

だれにも気兼ねせず

しかもお気に入りのECサイト

“わたし”が主人公になってのびのびと買い物をする。

 

このライフスタイルの変化変容は、新年を迎えつつある今、より違和感なくリアルに共感することができます。

 

先日、懐かしい映画を観ました。20年前に公開された1998年のアメリカ映画「ユー・ガット・メール(You’ve Got Mail)」。トム・ハンクス&メグ・ライアン主演のロマンチックコメディです。

物語の舞台は1998年のニューヨーク。街の小さな絵本店を経営しているキャスリーン(メグ・ライアン)は、インターネットで知り合ったハンドルネームNY152」に恋をしていました。実はその相手は彼女の店の近くにオープンした大型書店チェーンの御曹司ジョー(トム・ハンクス)…。ビジネスにおいて敵対する関係です。 

 

映画の小道具に注目しましょう。主人公メグ・ライアンが使っていたパソコンはアップル社のMacBookPro。液晶ディスプレイのラップトップ(膝乗せ型)がリリースし始めた頃です。インターネットに接続する際の「ピー、ガガガ・・・」という電話の音声回線を使ってデータ通信していた「ダイアルアップ接続」の音。通信速度は極めて遅い時代で、静止画のホームページ画面が出てくるまでに3分。よってホームページを検索するシーンは一切ありません。

 

ジョーが経営者をつとめる敵役である大手の本屋「フォックス書店」は、米国最大の書店チェーン「バーンズ&ノーブル」がモデルです。ゆったりとしたソファが配置され、店内にカフェを併設。カフェではミニコンサートなどが開かれています。街のシーンでは当時急成長していたスターバックス・コーヒーの店舗を登場させ、自分好みにカスタマイズする複雑な注文をしてみたり、マイタンブラーを持って出勤するシーンも起用です。

 

パソコン、インターネット、メール、チャット、そしてスタバ…、当時の走りが懐かしく思い出されます。現在の生活周辺に視点を移せば、カフェを併設した書店が当たり前にありますし、速く小さく軽くなったIT端末を活用してインターネットを介したコミュニケーションが人気。街のお店の敵役として設定されていたチェーン店が、アマゾンにとって変わりました。

 

この20年、わたしたちの暮らしにおいて「小道具」が大きく変わりました。これから先の20年も大きく変化してゆくと想像できます。このような時代、マスメディア、インターネット、毎日届くダイレクトメールなどでは「〇〇しなければ大変なことになる」「知らなければ損をする」「時代が変わるのに変われないからダメ」等々、ネガティブな論調でダメダメ論がまことしやかに迫ってきます。焦りますし、不安になるのは当然です。

 

20年まえの映画がわたくしたちに気づかせてくれるのは「小道具は変わっても、ドラマの本質は変わらない」ということです。

 

「ドラマ」の語源はギリシア語の動詞「ドラーン」。「行動する」という意味です。ギシリャ悲劇の時代から変わらないドラマツルギー(作劇法)が、「人間を描く」ことです。人間が描かれているからこそ登場人物に共感し、感情移入し、我がことのごとく感動し、心をふるわせます。すべてのドラマは人と人が出会う物語であり、具体的な3つの単語で表現するとすれば、“Boy Meets Girl”。「男の子と女の子が出会う物語」です。

 

これからの商売は「熱狂」がキーワードになってゆきます。深く強く共感してもらえる。自分ごとで感情移入してもらえ、自分ごとになって感動してもらって、商品サービスを熱烈に好きになってもらう。時代に合わせて再定義した、新しいメイクドラマの時代であり、本質は「ボーイ・ミーツ・ガール」でとてもシンプルです。

 

人と人とが出逢いドラマが生まれる。新しい舞台で新しいドラマが再生していく。

 

この本質を基盤に、わたくしの商品リニューアル戦略は「熱狂」を作っていく包括的戦略であり、経営戦略そのものです。今の時代にどうやって人と人とが出会ってゆくか。どうやってドラマを作ってゆくか。本質ほどシンプルな言葉で表現することができます。一方、戦後、輸入された外来概念を高く見積もる傾向はますます強くなるばかりです。お勉強は大事、されど経営者が全身全霊をかけて推し進めてゆく「実務」とはまったく次元が異なるものだと、うすうすはお感じになっているはずです。直感は案外正しいものです。

 

本質で勝負するか、それとも小道具=遊び、で勝負してゆくのか。どちらに進むかによって、これからの三年、五年が大きく変わってゆきます。社運を賭け、どちらを選んでゆくのか、、、

 

2018年がもうすぐ始まろうとしています。やるか、やらないか「肚を決める」。ビジネスを飛躍へ動かすのはこの一点だけではないでしょうか。社長の決意をみせる時、強い「気」で仕掛けてゆく時ではないか。

新年、御社をさらなる高みへお連れできるよう渾身でお導きしてまいります。