商品の運命に楯をつけ 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第53話

平昌オリンピックが開幕し、日本のアスリートたちの、メダル獲得のニュースが飛び込んできました。注目選手のひとり、女子ノーマルヒル決勝に挑む高梨沙羅選手が銅メダル獲得。

 

メダル獲得から一夜明けた今朝、日本テレビZIPに出演していました。印象的だったのが、アナウンサーから出された「究極の質問」に応える高梨選手です。質問は「会えるなら、どちらの自分に会いたいか」という質問です。

 

選択肢は二択で、「A.4年前の自分に会う」「B.4年後の自分に会う」。高梨選手は迷わず、Aの「4年前の自分に会う」を選択していました。

 

選んだ理由は「4年前の自分は自信がなくて力を出せなかった。だから、その時の自分に“大丈夫だよ。自分を信じて”と伝えたい」とし、さらに「4年後の自分には会いに行かなくていい。今の気持ちを信じて創ってゆけばいい」。そう清々しい笑顔で力強く回答していました。

 

高梨選手は4年前のソチオリンピックは行かされている感があり、自分の足で行ったという感覚がなかった。ゆえに自分に自信を持って試合にのぞむことが出来なかった。しかし、今回のオリンピックでは、自分の足で行き終わってから爽快な気持ちになれた、と。果たしてメダル獲得につながり「これでいい」と自信を持てたそうです。

 

商品リニューアルの「Re-New」、“Re”とはラテン語のBack。後ろへ、を意味します。過去から新しい未来を創る。それが商品リニューアルです。

 

冒頭の高梨選手の言葉は、まさに商品リニューアル道そのものです。アスリートもまた目標に向かって、自分自身を刷新し磨き上げて日々リニューアルしているのです。今感じている事実(高梨氏の場合は“これでいいという自信”)を基盤に、過去へとフィードバック検証し、同時に未来を創ってゆく作業です。

 

事業経営が逆算であるように、商品リニューアルも「逆算」です。しかし、それは未来からの逆算だけではなく、現時点から過去への逆算も同時にしていくことが、大きな特長です。

 

通常、商品開発やマーケティング手法において作ることになるロードマップでは、あるべき姿「未来の計画」を描きます。しかし、現在を起点とし、過去へフィードバック、検証と改善という逆算はほとんどなされていません。

 

事業に課題があった場合、過去の問題点、反省点を明らかにする時、多くの経営者や経営に関わっているエクゼクティブは「自社ビジネスは衰退産業ですから・・・」と口火をきられ、自社の主力商品がゆるやかに売れなくなってきている、または激しく売れなくなっているのは、商品の「運命」と言わんばかりです。

 

衰退産業とは、将来にかけて衰退していくことが予想される産業を意味する言葉。衰退の原因は、技術革新の限界や資源不足という産業内部のものもあれば、国土拡張の限界や人口減少などといった外部環境の要因もあります。似たような言葉には斜陽産業、縮小産業などという言葉もあり、昨年から言われ出している「あなたの仕事はAIに奪われる」という切り口も同じことを示唆しています。

 

主力商品の斜陽化を「運命」とするならば、その時点でわたしたちの思考は止まってしまいます。そのような思考レベルで未来のロードマップを描いたところで、実践という行動につなげるロードマップになるのでしょうか。

 

時代が変わった、産業構造が変わった、日本のマーケットが縮んだ、、、という現状認識は、少し勉強した小学生でも言えることではないでしょうか。だれもが言っているような常識論、商品サービスの「運命論」を自ら壊してゆく覚悟がなければ、ぜったいにメダルは獲得できません。

 

商品リニューアルの現場では、商品サービスを変えずにできることがたくさんあります。売り方や伝え方を変えるだけで売れることもあります。現状の事実を受け止め、商品の常識的運命に楯突いた時、行動が起き、はじめてマジックが起きるのです。商品サービスのリニューアルとは創造行為であり、ワクワクする新しいマーケット、新しい未来を創ることに他なりません。

 

商品サービスの衰退を「運命」のせいにしていませんでしょうか?

 

もしもタイムマシンがあって、数年前の商品サービスに会えたら、今何と伝えたいでしょうか?

 

数年前の商品サービスに「自信をもって大丈夫。そのまま進め」と伝えられる現状でしょうか?

 

未来から逆算し、リニューアルでどのくらいの利益を手に入れたいでしょうか?

 

そのために、今できることは何でしょうか?

 

社運を賭けて育ててきた主力商品やサービスは、御社のトップアスリートです。

安っぽい運命論に楯突いてください。誰かが言っている商品サービスの運命を打ち破って、社長自らが指揮をとり、つぎのメダルを目指してゆきましょう。金メダル獲得、つぎは御社の番です。

 

※参考文献「自分の運命に楯を突け」岡本太郎著/青春出版社