売れる商品リニューアルの方程式 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第90話

前回のコラム、第89話で取り上げました美白基礎化粧品お試しセットについて、お読みいただいた方から「商品効果はどうだったのか?」といった楽しい質問をいただきました。商品はこれから使うところです。到着してから5日後から始まる販促活動の徹底と強気のプロモーションに圧倒されています。メールマガジン、ダイレクトメールの投函、個別メール、そして昨日、お電話がかかってきました。

商品が届いたらすぐに使用するというロードマップを売り手は描いているようです。しかし、すぐに使うかどうかは顧客によって異なります。そして消費者はしつこい営業が嫌いです。テンションを上げたり下げたり、お客とはなんと勝手なものでしょうか。自身を俯瞰し、つくづく計算通りにはおさまらない理不尽な消費者心理を自覚しています。

 

勝手・・・といえば、明日が「ハロウィン」当日になります。週末の東京渋谷の様子がニュースで流れ、事件がクローズアップされています。こうした事件の蔭で、朝の情報番組では興味深いレポートをやっていました。今年のハロウィンは全体的に地味。その名も「地味ハロウィン」に注目が集まっていると伝えています。まず、ファッションが地味です。普段着で仮装しています。普段着なので仮装しているのかいないのかわからないのですが、小道具持参で「交通定量測量をやっている人」に仮装していたり、OL風のファッションで「血液検査を受けて、採決したところを手でおささえている人」であったり、少し乱れた髪を後ろで束ねた女性は「教育実習の最終日の先生」を表現しアスレジャー風です。佇まいが地味です。

 

言葉で説明しても何のことだか意味不明だと思いますが、当の仮装者たちが「意味不明でしょ?」と笑って楽しそうです。地味で“変な仮装”をする当人たちは、

 

 ・「それ何???」って驚かれて、仮装の意味を聞かれることが楽しい

 ・仮装について聞かれて説明したりして、仲良くなれるのがうれしい

 

と、おっとり回答していました。今年「地味ハロウィン」を楽しむ人たちはシチュエーションコメディの主人公よろしく自分が妄想する物語を演じた仮装スタイルです。「いつものファッション」に小道具を使ってリニューアル化し、その場を即席の「舞台」にしてなりきっています。目立ちたいとか自己顕示するといった方向ではなく、自己満足の世界です。誰かに迷惑をかけることもなく穏やかで内省的なハロウィンです。

彼らのアクティビティには「脱おしきせ」とか、わざわざ言葉で仮装の意味を説明する「面倒臭さ」や「かっこ悪さ」、自虐する「ユーモア」や「余裕」が感じ取れます。時短や効率化が進む世の流れに逆らっているかのようなアナログ感があります。この、地味感こそが「変化」です。昨年までの華やかさとは真逆な流れが生まれています。

 

わたしたちは今、「変化」を求めています。変化というスパイス、「刺激」を求めています。その背景には、快適、便利、豊かさがあります。そして平和であることが大前提です。日本にいれば、ある一定レベルの商品サービスが手に入ります。質、デザイン、コストパフォーンスも優れたバランスのとれた良品揃い。わたしたちの欲求は、十人十色どころか、十人百色、千色にも拡大しています。

 

わたしたちは、テクノロジーの進化によって、際限のない欲望を満たすことができるようになりました。自己中心的な欲望が肥大しても、叶う時代になっています。ワガママで勝手な欲望を満たすことができる。と同時に手に入れた途端「飽きてしまう」側面もあります。もっと「おどろきたい!」「感動したい!」「びっくりしたい!」という刺激を求めています。逆説的ですが、刺激が欲しいけれど、全部を新しくしなくて良いという感情もあります。刺激だけでは生きてゆけないからです。日々の暮らしに「安心」や「安定」、そして「愛着」を求める側面があるはずです。愛着のある今ある商品サービスに「新しい!」を見つけることができれば満足します

 

あまりに快適、あまりに便利な世界に慣れきってしまった今のお客様に、真に喜んでいただくことはとても難しいこと・・・。そうボヤいてみても、今日もお店を開けなければなりません。洋菓子店を経営しているとしましょう。いま売り出しているハロウィンスイーツが売れゆきがよくない。昨年実績が出ていたので商品企画も販促展開もほぼ去年のまま。が、時代の空気感が違うみたい。去年は地域のママたちがパーティーを開いてごっそり買って行ってくれたというのに・・・。

 

しかし、ハロウィン商戦はまだ終わってはいません。秋の収穫祭とつなげてアフターハロウィンだって仕掛けられるかもしれません。オープン前に、商品仕様を手直ししたり、ディスプレイを変えてみたり、キャッチコピー変更した手作りPOP、ツールを配置したり、身内客に連絡したり、SNSで発信したり・・・工夫をして何としても売り切らなければなりません。なぜなら、わたしたちは、ひとりで仕入れて作り、ひとりで店に並べて、売り切らなければならないからです。たった1人で売り切る。ここに、むずかしい考え方など何ひとつありません。

 

商品リニューアルは変化創造戦略です。「愛着」という商品サービスへの信頼をベースに「スパイス」という刺激を加えてゆくことで再生、復活します。スパイスとは「変化」であり「刺激」です。商品のリニューアル化は、商品開発と販促活動の両輪、今の「マーケット分析」と「トレンド予測」の両輪です。戦略の軸となる四つの輪を自社ビジネスに定着させ、時代の変化に対応し、新しい変化を仕掛けながら常に消費者に刺激を与え続けていくことが大事です。つまるところ戦略のもとに、仕入れて作り、店に並べて、売り切る。このアクションの繰り返すことです。変化しているうちは、苔むすことはありません。

 

変化はさまざまなシーンで感じることができます。日常生活の気がつかないような違和感、些細な会話や出来事、街の風景、人の姿に必ず変化が現れて来ます。五感と直感をフル稼働させましょう。たった一人であっても、100人のプロジェクトチームであっても、商品リニューアルという包括的戦略の中で、粛々と「仕入れて作り、並べて、売り切る」という商売のサイクル、商売の型を回してゆきましょう。リニューアル化により商品を動かし会社を動かしお客様を動かしスパイラル状に売上利益を上げてゆく循環は意図して作ることができます。

お客様の方をむいているかどうか

売り切ることをしているかどうか

商売の神様はシンプルな考え方に宿ります。