売れる“3T”の法則 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第93話

2時間のスポットコンサルティングでのことです。弊社のセミナーに参加してくださった経営者の方が「コザキ先生、試食していただけますか? 」とリリース前の“ジャンボシュークリーム”を持ち込まれました。いま時代のキーワードは「小型化」です。洋菓子の場合は原材料の高騰をきっかけに小型化が進みましたが、少子高齢化、おひとり様需要を背景に温熱ヒーターなどの家電も今は小型がトレンドです。この社長はあえて「ジャンボ化」し、家族といっしょに食べる、をコンセプトにしておられました。(ご承諾の上書かせて頂いております)

 

スポットコンサルティングは対面式の単発コンサルティングです。わたくし古崎と企業さまと2時間じっくり相談したいという方にご活用いただいてます。社長がお一人でいらっしゃることもあれば、幹部のかたを数名お連れになるケースもあります。リリース予定の試作品のご相談も多いのですが、2時間という限られた時間いっぱいいっぱいで、ポイントを抑えながらくわしくお話を伺って、整理し、つぎのアクションにつながる最適解をお渡ししています。

 

試作のお持ち込みでは、具体的に「ヒットするかどうか」とか「どこを直したら良いか」といったご相談です。「売れる」ということは様々な要素が絡まりあっていることですし、その会社がどういうタイプの会社なのか、会社の性格と性質がわかっていなければ、たとえヒットしたとしても一発屋で終わる可能性がありますので、安直な姿勢でお答えすることはできません。が、商品リニューアルの実務者としての全てをいったん脱ぎ捨てることで見えてくることもあります。イチ生活者となって商品を点検することで、問題や課題を整理することができます。

 

冒頭のジャンボシュークリームであれば、買っていただきたいミドル・シニア層が食するスイーツにしてはジャンボすぎる、第一印象で見た目の抵抗感がある、家族でシェアする、という視点で試作されたようですが、だとすれば商品デザインが地味じゃないか、という見解をお渡しし、次のアクションに移すためのお話をさせていただきました。社長は「自社都合になっていると気づいた」と俯瞰されました。

 

例えば、セミナーや講座、単発コンサルティングで「答えをもらった」と言って満足されても、実際には「何ひとつ変わらない」のが現実ではないでしょうか。どんなことも同じですが、頭で理解することと実践できることは、まったく違う次元です。さらに「頭の理解」の部分が「どうしたって売れない考え方」であったりすれば、そもそも論で、うまくいくはずがありませんし、時間を無駄にしてしまいます。

 

商品リニューアル戦略においては、ヒットの大原則に「3T/スリーティーの法則」があります。この「3T」とは、わたくしがメーカーでの実務経験とマーケティング実務、商品リニューアルの研究を通し編み出した法則で、「つくる・つたわる・つながる」の頭文字を取った造語です。3Tの法則とは、商品リニューアルにおいて「お客さんが求めているものをつくり、お客さんに伝わり、お客さんとつながる」ことでリニューアル商品は売れ、ヒットが生まれます。むずかしい表現はなく、いたってシンプルな原則です。

 

確認すべきポイントは「つくる・つたわる・つながる」が御社都合になっているのではないか、ということです。「御社が造りやすいものをつくり、御社が言いたいことをつたえ、お客さんにつなげている」現状になってはいないか。御社が主語となり、一方的なコミュニケーションの仕組みになってはいないか。文章にするとシンプルなことですが、大手企業であればあるほど自社都合の3Tになっています。が、それでも数字合わせで圧倒的な売る力があるので何とか回ってゆきます。では、中小企業であったらどうか、ということです。

 

この考え方の違いを理解し「お客さん」を主語にした「つくる・つたわる・つながる」を仕組み化することが、次のアクションとなります。

 

御社の「強み」や「魅力」を存分に発揮した商品にリニューアルする時、それを求めているであろうお客さんに伝わるコンセプト、伝わるネーミング、伝わるパッケージデザインをつくること。そして、御社が自然体でお客さんにつながる仕組みをつくり、さらにお客さん同士が自発的につながる「場」を提供することが求められています。

 

御社の「3T」を確認してみてください。「お客さん」を主語にした「つくる・つたわる・つながる」仕組みをつくること。書いた言葉はシンプルで当たり前のことだとご理解されているでしょう。しかし現実は奇なり。真逆の商品開発がほとんどで、「盲点」となっています。科学の分野でも解き明かされているとおり、本質はいたってシンプルです。単に商品をリニューアルすることをお考えではないでしょうか。お客さん主体の「3T」を仕組み化することが売れる商品リニューアルの原理原則です。