商品リニューアルとSNS発信のポイント 「社長直轄! 商品リニューアルの着眼点」 第15話

ジャストシステムが行なったSNSに関する調査によれば、SNSを使い始めた頃よりも、3人に2人が「SNS疲れが減った」という結果が出ていて、SNS疲れが減った理由は「SNSに慣れて、自分なりの使い分けができるようになった」という回答が最多です。これは10代から50代の男女1005人を対象にしたもので、概ねこうしたソーシャルネットシステムを使いこなせるようになった消費者の姿がイメージできます。

一方では、SNSに関しての思い込み、誤解や悩みは案外なくならないものだな、というのが商品リニューアルコンサルティング実務を通しての実感です。少数派ではありますが、経営者や幹部の皆様の中には、ITツールが苦手だ、という方がおられます。「一応、フェイスブックのアカウントをもっているけどやっていない、そのまま放置してます」といった感じです。また逆に「最近やっと目覚めました!毎日発信することが大事ですよねー」とか「ブログは1週間にどのくらいの頻度で書いた方が良いですか?」という、頻度に関するご質問も多くいただきます。

この質問に対して「毎日書いても書かなくてもどちらでも良いです。むしろ、内容によっては、書かない方が良い場合があります」とお答えしています。前出のアカウントを持っているけど発信していない、という社長はセーフ、とばかりに安堵の表情です。毎日書こう!と意気込んでおられる経営者は、必ず困ったような、怒ったような表情をされます。なんでも「毎日書くことが大事」と経営者仲間から言われたということです。コンサルタントでもそう指導する方が非常に多いのが現状です。

毎日書く必要はありません、と伝えたところ、ある経営者は「ほらぁーー!」と、スマートフォンで士業先生のフェイスブックを見せてくださいました。

   社長:「こうやって、たくさんのお客さんに囲まれて、豪華ランチを食べたよって

    日常を綴ると、顔が売れるということなんですよ!」

   私 :「なるほどー。士業先生キラキラしてますね!」と共感

   社長:「でしょー!こういう人に仕事を依頼したくなるっていうことです」

 私 :「で、社長はこの方にオファーされてるのですか」

 社長:「いやいやー。僕がお願いしてるのはむしろSNSとかダメな先生ですよ」と笑み

あれ?

社長、言っていることとやっていることが違いますね…。しかし、この言動不一致こそが非常に大事なポイントであり、これがリアルな顧客心理だといえます。

SNS等の活用方法において「正解はない」ということがまず大前提です。ご自身のビジネス特性にフィットする使い方をする、というのが最適解です。指針としては、いつも申し上げている通り、経営者目線から離れて、一人のお客としてこうしたツールについて俯瞰することです。社長がよく利用するお店、または美容院やサロン、病院、税理士、コンサルタントなど・・・そこの店主、オーナー、院長、先生方のどのくらいの方がSNSを使って毎日発信されていますでしょうか。今これをお読みになっている社長がお客として利用している、ということが重要です。

自分がお客になってお金を出す場合、SNSから距離を置いているようなお店や人を選んでいませんでしょうか。例えば、いつも行く歯科医院の院長先生が「今日もホテルでこんなランチを食べたよ」と豪華なランチ写真を掲載していたり、美容室のオーナーが「お友達とおいしいワインを楽しんでます」といったシチュエーションで、キラキラと輝くような写真をアップしている…それを目にした時、どんな気分になりますでしょうか。素敵だな、先生楽しんでるんだな、よかったな。そんなふうに共感できる人もおられるかもしれません。ですが、少数かもしれませんが、それとは反対のリアクションがあってバランスをとっているのが世の中の法則です。

直感的に感じることは決して言語化されません。ご自身の心の中で静かに思い返して欲しいのです。身近な先生やオーナーのキラキラSNSを見たときに「あれれ?仕事どうしたんだろう。オフなのかな…」だったり「えっ、先生(商品やサービスとは)関係ないじゃん!」とか、手で瞬時に「いいね」しながらも、目には見えない本音は「だれのお金で遊んでるのよ」といったネガティブ反応があるかもしれません。いかがでしょうか。

そして面白いことに、私たちは「お客になる前」には、必死にネットで検索して「どんな会社なのか、どんな経営者なのか」を知りたいから、ブログやフェイスブック、Webサイトを隅々までチェックしリサーチしています。そのくせ、実際にお金を出すときには「口が固そうだな」とか「SNSでベラベラなんでも書いていて軽い。やめておこう」と勝手に評価します。全くもって大きな矛盾ですが、毎日こうしたジレンマの中で、人は商品やサービスを選択し買っているのです。理屈を超えた、わがままな存在。それがお客様なのです。

常識的な価値観では、ブログやSNSは「楽しむツール、肩の力を抜いてコミュニケーションするツール」と言われています。そういた側面ももちろんありますが、あなたのビジネスにおいて「主役」は誰か、そう今一度立ち止まって考えてください。お客様から見て商品サービスが「どう映っているか」ということを厳しく俯瞰してください。

ビジネスにおいて主役は提供する「商品サービス」であり、商品サービスはいわば会社にとって「アイドル」のようなものです。経営者はそれをプロデュースする立場にあり、敏腕プロデューサーに徹することが求められています。いわば裏方です。スポットを当てるのは社長ではなくて「商品サービス」です(もちろん経営者=商品サービスである、というコンセプトであれば話は別)。ランチに何を食べた、こんな場所に行った、こんな人と会った、というような出来事…、お客様から見たら御社の商品サービスとは全く関係がないことばかりのタイムライン。社長の「遊び」と思われてしまう、肝心の商品サービスの印象にはつながらない、そういうことが自社にとり「良かれ」と考えて毎日時間を使っていく。非常にもったいないです。

こうした話をすると、9割の方が「えっそんなに厳しく考えなくたっていいんじゃないか」とか「もっと肩の力を抜いて楽しもうよ」とおっしゃる方がいます。もちろん、爆発大ヒットしブランドとしても知名度アップし誰もが会社や社長に共感してくれる。そんな確固たる世界を築けた時、肩の力を抜いてみることも良いでしょう。しかし、今一度、手元にあるスマートフォンをチェックしてみてください。誰もが知っていて支持されているエルメス、虎屋、ゴディバなどの老舗企業、ユニクロ、セブンイレブンなどの大手企業ほど、SNSでアップされる写真は、「商品」や「サービス」であり、社員や店員の顔が出て来る場合にも、きちんとした印象のものが多いはずです。私たちはそういう場で戦っているのです。何より、自分がお金を払う立場になったときにどう見るか、ということを内省すれば、どういう発信が良いかわかります。そこには「戦略」というような大げさなことではなく、必要なことは「お客様が見たときにどう思うかどう感じるか」という単純な視点だけです。商品サービスこそが、主役なのです。

ITツールを使っているのにもかかわらず、例えばサイトを「全く更新していない」ということがあれば、お客様は敏感に「この企業は努力していない」と受け取られます。お客様はありとあらゆる携帯端末ツールで「検索」してチェックする時代ですので、フェイスブックページもそのまま、という場合も「この会社大丈夫かな、不安」につながります。停滞の原因は「仕組み化」されていない証拠です。社内で一度話し合い、内容や発信のタイミングなどを決め、指示書として落とし込み社内で共有してください。

これをお読みになって、もう一度スマートフォンでSNSをチェックしてみてください。楽しくて羨ましくて憧れたりワクワクする写真や記事、発信がタイムラインにたくさん掲載されています。感受性豊かに共感できることは素晴らしいことです。そこから、一歩踏み出して、では、お金を出しますか、欲しくなりますか、連絡したくなりますか。というお客様心理で検証してください。例えば、セブンイレブンの新商品スイーツ「抹茶ババロア」が美味しそう♡お昼休みに買いに行こう…、だったり「〇〇先生が投資について役立ちそうな記事を書いてる、保存してあとで読もう」だったり、、、お客様の目線に立って、心の導線を再確認してください。自社の商品サービスに関係ないことを毎日毎日発信する必要は全くない、という意味をご理解いただけると確信しています。

商品サービスは御社の「アイドル」です。例えば、イメージチェンジというリニューアルを控え、売り出すためにプロデューサーとしてどうやって伝えていくか。社長の衣食住を発信することではないですね。世の中の常識を一度疑って、ご自身の頭脳で「解」を導きだす、ということが要請されています。SNS発信やブログの記事、小さなことではありますが、中小企業にとっては積もっていけば強い武器となります。常識や大手企業のやり方、コンサル先生の言葉を一度ご自身の中で吸収し、改めてもう一度「お客さんだったらどう思うか」「どう映っているか」とご自身に厳しく質問してください。